清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

経済誌 言ってることが とんちんかん

今週月曜日発売の週刊経済誌は、とんちんかんな記事が多かった。以下において検討する。

1.『週刊ダイヤモンド』2009年12月5日号

(1)p28~は、「民主党最大のアキレス腱 労働組合の腐敗」と題して、労働組合批判をしている。

p38「労働貴族の呆れた実態」、p50「労組は守ってくれない」は問題ないと思うが、それ以外は、読むに耐えない内容。

例えばp29。「政治にカネも口も出す」。もちろん、労働組合は「主として政治運動又は社会運動を目的とするもの」(労働組合法第2条第4号)であってはならない。しかし、「政治にカネも口も出」してはいけないわけでもない(菅野和夫『労働法』(第七版補正版 弘文堂法律学講座双書)p476参照。又、法人にも政治活動の自由がある(のでカネが出せる)ことにつき、最高裁大法廷判決昭和45年6月24日民事判例集24巻6号625頁)。だから、批判としては筋違い。ところで、日本経団連に同様の事書いた?

p35・2段目26行「労組を立てれば世論の支持を失い、立てなければ最大の味方を失う」とあるが、よくわからない。労組員の読者もあろうに。

p54では、日本航空の「労組が経営再建の足かせ」とあるが、労組が悪いのではなく、「会社は労組の分断工作に乗り出」(p54)したことが問題ではないのか?また、会社内でいくら労働組合があっても法的に問題はない(正社員の利益のみ主張する会社の労組が信用できないから別に労組を作ってはいけないのか?これがいいならば日本航空の事例は批判すべきではない)。

p55・4段目33行では「横並び労組」を批判しているが、産業別組合の国では違うのか?

たぶん企画した人は、経営者を想定して、「何でもいいから労組の悪口を書け!」と指示したからこんな見るに耐えない内容になったのだろうな。

(2)p92高井重憲「過払い金と同じく大量処理が可能 企業への『残業代請求』急増の恐怖」

反論が難しい、回収リスクが低い(以上p94)など、消費者金融への過払い金請求とパラレルなところはあろうが、問題意識がダメ。

きちんと残業代(時間外手当など)払えよ!人を雇えよ!人数が少なくても生産性を上げろよ(日本の会社のホワイトカラーの生産性は低い、と聞く)!これらのアドバイス以外はダメである(そもそも残業代を払わないのが問題で、対策としてはこの3つぐらいしか思い浮かばない)。

2.『週刊東洋経済』2009年12月5日号

消費者金融に対する過払い金請求が出たので、p29ケースケ「ミスターWHOの少数意見 過払い金返還の現場 弁護士報酬自由化の帰結」をついでに取り上げる。

たしかに「追徴課税」(1段目18行)されるほどの悪質な事例もあろう。

しかし、(多くの法律事務所の料金体系が)「着手金ゼロ 成功報酬20~35%」であり、「貸金業者から200万円を借りた人の過払い利息総額が250万円」の(p29・2段目の事例)場合成功報酬について、実際の法律事務所がどちらなのか(すなわち、戻ってきた現金の20%なのか、利息総額の20%)の根拠も示さず、利息総額の20%であるかのように匂わせ、「やりたい放題の所業」(3段目31行)と断ずるが、根拠が薄弱なので、この記事のほうが「やりたい放題の所業」と思ってしまった。

これも、とりわけ消費者金融の経営者に媚びて作ったものと勝手ながら推測してしまった。