最近筆者は、NHK・Eテレの「テレビでハングル講座」を観ている。
知らない言語の勉強はつらいものがあるが、少々楽しい。ハングル(厳密に言えば、韓国語とイコールではない)で言えば、パッチムのおかげで、1語でいろいろな音が表記できているのを発見したのが面白い(私見)。
とこのように、日本で教育を受けた読者であれば、日本では、中等教育までに(高等教育を受けていない方もいるだろう)英語はやるが、韓国語をはじめ、他の言語はやらない。というわけで、中等教育までに英語以外の言語を学んでみようという話。
だいぶ前に筆者は野口悠紀雄・著『「超」勉強法』(講談社、1995年)を読んで、感銘を受けたが、その一つが以下のくだり。
◆できれば第二外国語を
高校の時に第二外国語を勉強しておくと、東大の受験*1には有利である。「英語で手一杯なのに、第二外国語など、とても手が回らない」と多くの受験生は考えるだろう。しかし、これは間違いだ。(略)
なぜか?それは、時間がかからないからである。第二外国語として出題されて いる問題は、かなりやさしい。しかも、短い。だから、あっという間にできる。(略)
この制度は、高校生に第二外国語の学習を勧めるためのボーナスである。この特典は利用したほうが得だ。もちろん、第二外国語の授業はない高校が普通だろう。その場合は、ラジオやテレビの講座で独学すればよい。私は、名講義として有名だった「関口存男のドイツ語講座」をラジオで聞いていた。(以下略)
(野口悠紀雄『「超」勉強法』p80,81)
著者は東京大学工学部卒業だから(『「超」勉強法』の著者略歴参照)、おそらく理科一類で受験したのだろう。東京大学HP「入学者選抜方法等の概要 各学部紹介」参照(2020年7月17日アクセス)。
で、令和2年度東京大学入学者選抜要項(2020年7月17日アクセス。https://www.u-tokyo.ac.jp/content/400119938.pdf)によると、理科一類の場合、センター試験の外国語は英語、ドイツ語、フランス語、中国語、韓国語のいずれかを選択でき、第2次学力試験の場合、英語、ドイツ語、フランス語、中国語のいずれかを選択できるが、「ただし,英語の選択者に限り,英語の問題の一部分に代えて,他の外国語(ドイツ語,フランス語,中国語,韓国朝鮮語)のうちから一つの外国語を試験場において選択することができます」(令和2年度東京大学入学者選抜要項)とある。野口悠紀雄『「超」勉強法』の「◆できれば第二外国語を」の記述はまだ有効である。
筆者は東京大学を受けるほどの学力がなかったので上記 『「超」勉強法』の妥当性はわからない。しかし、もし野口さんが書いたように「かなりやさしい。しかも、短い」(『「超」勉強法』p81)が本当なら、受験生にとって朗報だろう(もちろん、あらかじめ過去問を見て確かめるのは必須)。であるから、高校生にとってはトライしてみる価値があるかもしれない。
このようなことを書くのは、筆者の印象論で、最近はますます英語の重要性が喧伝される一方、他の言語がおざなりになっているからである。その一端は
kiyotaka-since1974.hatenablog.com
でも記した。英語以外の外国語を拒絶するよりも時間の許す限り学ぶ方が能力も上がるし精神面でもいいはずだが。なお、上記記事の「野口さんは、英語より簡単なドイツ語をセンター試験で選択して東京大学に入学した」を「野口さんは、英語より簡単なドイツ語を第2次学力試験で選択して東京大学に入学した」に訂正する。
最後に何を選択するかについて。筆者は東京大学を受験していないので、現在高校1,2年生ならこうするということを書いてみるが、とりあえず文学で面白そうな作品がある言語というのはどうだろう。前述した『「超」勉強法』p134には「表3・3 高校生のための文学5選」が載っており、『トニオ・クレエゲル』はドイツ文学、『愛の妖精(プチット・ファデット)』はフランス文学である。読み方は全然違うが、漢文に興味のある方は中国語、筆者は『82年生まれ、キム・ジヨン』は未読なので勧めないが、K-POPに関心があれば韓国語がいいだろう。
*1 柴田孝之『試験勉強の技術』(ダイヤモンド社、2010)も読んで欲しい。特に希望がなければとりあえず東京大学志望にしておけば後に科目が調整しやすい。