ちょっとしたメディアリテラシーの話を。
読売新聞2022年4月28日統合版13版6面に「拒否権使えば総会招集」などの見出しがついた記事があり、そこに「拒否権乱用の抑制を狙った総会決議に対する5常任理事国の態度と2010年以降の拒否権の行使回数」と題したデータが載っている。以下、各国の拒否回数を引用する。
米国 4回
英国 0回
フランス 0回
ロシア 23回
中国 11回
すごい印象操作だなぁ。国際連合(連合国)って、2010年にできたのだろうか?
一方、ウィキペディア「国際連合安全保障理事会における拒否権」(以下の内容は、2020年4月29日現在)
は参考になる。それによると(ただし、国名の表記は「ロシア」と「中国」を除いて、回数は、先ほど引用した読売新聞の順とする)、
米国 82回
英国 29回
フランス 16回
ロシア 26回(ただし、ソビエト社会主義共和国連邦時代に90回なので、合計116回)
どういう事情があれ、改革すればロシア以外にも適用されるわけで、2010年という恣意的な区切り*2ではなく、国際連合が始まってからすべてのデータを示さないとアンフェアなだけである。こうしてみると、米国も乱用していると疑わざるを得ないと判断しないと実際の状況が見えない。
というわけで、新聞だから信用するのではなく、いろいろな情報にアクセスして、妥当なデータを自らで判断した方がいいという話である。
*1:ロシアはソビエト社会主義共和国連邦を引き継いでいるが、中国こと中華人民共和国は、中華民国から代表権が移った。
*2:というか、なぜそこで区切るべきかがわからない。