清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

科学をね わからなかった 魚屋さん

 もちろん、漁業関係者の現状は理解しようと努力する。しかし、科学的なものを否定されては、黙ってはいられないので、以下、記事にする。

 

 今回取り上げるのは、産経新聞「福島の若手魚屋『反対より風評起こさぬ活動に力を』」(奥原慎平。2023年8月29日16時48分)である。

www.sankei.com

以下、引用しつつ、検討する*1

 

 (福島。筆者補足)県いわき市鮮魚店などを経営する(略)県最大級の魚屋(略。代わりに「のご主人によると」を加える)「処理水が危険なものという主張を流すことはやめてほしい。反対活動よりも風評を起こさない活動に力を貸してほしい」と述べ、前向きな発信を訴えた

というが、それこそ根拠が問題であり、主張を流すな、ということにはならない。

 

──放出反対論が根強い*2

「処理水があたかも危険なものという主張を流すことはやめてほしい。(生態系や人体に)危険だという科学的なデータは確認されていないではないか。安全性うんぬんではなく、政治的な活動に巻き込もうとしているとしか思えない。本当にやめてほしい。放出反対活動より、風評を起こさないような活動をして力を貸してほしい」*3

 

 そりゃ、ALPSで処理した水を海に流すというのは、人類史上初めてなのだから、「科学的なデータ」などあるわけがない。

 

──メディアに求めたいことは

「前向きな空気感を作っていってほしい。メディアの論調によって空気感が変わってくる(以下略)」

 

 それはメディアが決めること。魚屋のご主人が気にいらない論調でも、真実であれば報じるものである。

 

──中国政府が処理水放出の対抗措置で日本産水産物の輸入停止を打ち出した

「あきれている。もはや、この一言くらいしか出てこない」

 

 仮にALPS処理水が何ら問題がなかったと結論が出ても、こういうところから買おうという気になるのだろうか。産経新聞で取り上げた魚屋さんの今後が心配である。

 

──「X(旧ツイッター)」では科学的根拠に基づかない情報も流れている

(略)

「処理水の問題は前向きな空気感をつくって、みんなで乗り越えていかないといけない日本人全体に関わる問題だ。対岸の火事のように評論ばかりして、頑張っている人を批判して、誤った情報を流して、たらればで不安をあおる人たちには残念だ。『生き様を改めませんか』と問いたい。批判ばかりしていては、この国は前に進まないのではないか」

 

 この魚屋さんって、科学というものをご存じないのではないだろうか。「批判」や、場合によっては「誤った情報を流」すことが発展につながる側面があるのだ。具体例は簡単で、コペルニクスの地動説も、最初は「誤った情報」だったのである*4

 

 正直、産経新聞、ならびに登場した魚屋さんの今後が心配である。

*1:本記事の引用部分は、「福島の若手魚屋『反対より風評起こさぬ活動に力を』」からの引用。2023年9月1日追記。

*2:おそらく、奥原慎平記者の質問。

*3:本記事においては、「魚屋のご主人」とし、その人のコメント。

*4:コトバンク「地動説」をご一読。

https://kotobank.jp/word/%E5%9C%B0%E5%8B%95%E8%AA%AC-96347 日本大百科全書(ニッポニカ)の説明を引用すると、「コペルニクスの発表(略)後、ローマ教皇庁の強権的圧迫を受けた」とあるから、本文は厳密さを書くという非難は甘受するが、通説がそれを否定する根拠に基づいて変わるというのが科学の本質であると筆者は思っている。