当ブログでは、「社説がね 壊れちまった 読売の」*1をシリーズ化している。下記リンクから。
kiyotaka-since1974.hatenablog.com
今回は、趣向を変えて、1面コラム「編集手帳」の壊れっぷりを取り上げる。
①2023年9月4日
読売新聞2023年9月4日統合版*21面編集手帳によると、防衛研究所 政策研究部防衛政策研究室長の高橋杉雄*3は「著名なジャーナリストや評論家が『議論が足りない』と言って日本の安全保障政策を批判」するときに「いらだちを隠せな」いのだそうだが、それから、以下のように結論付ける*4。
♦学術会議のあり方を見直すため、政府の有識者懇談会が発足した。組織改革の検討は20年以上前から繰り返されてきた経緯がある。「議論が足りない」は耳にしたくない。
その通り。だから、組織形態を変える必要はない。むしろ、変える方が有害だろう。当ブログ「透明性 よりも大事な 自由かな」
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、ならびに「社説がね 壊れちまった 読売の」
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をご一読あれ。
②2023年9月7日
いきなり引用とする。他の部分は本記事の検討に関係がないので。
(前略)原発処理水の不安を煽り日本の水産物を輸入停止にしたのも、国民の不満を外に向ける狙いからといわれる。経済の失敗を隠すいじまじい手段の延長だろう。♦海洋放出の妥当性を受け入れないのは、科学うんぬん以前の問題である。(以下略)
いきなり「国民の不満を外に向ける狙い」と言われても。安倍晋三じゃないって*5。もっとも安倍晋三は「経済の失敗を隠すいじましい手段」を取ってはいなかったが。
それより気になったのは、「海洋放出の妥当性を受け入れないのは、科学うんぬん以前の問題である」のところである。メルトダウンした原子力発電所から出る「汚染水」*6をALPSで処理した水(「ALPS処理水」)を海洋に放出するのは史上初のはずで、それでは科学的にどうこう言うことが出来ないはずだからである。科学というのは再現性があると妥当とされるが、初めてのことに再現性があるわけがないからである。類似の事例*7とデータが似ているから信用してもらえているにすぎない。従って、中国の対応を「科学的根拠がない」だとか、「科学うんぬん以前の問題」というのは間違っている。
日本学術会議の件もALPS処理水の件も、自由民主党党連立政権の言い分を鵜呑みにし、追及が不十分である。編集手帳執筆者は、もう少し多面的に物事を見る勉強をした方がいいのではないだろうか。
*1:タイトルとともに、2024年1月11日修正。これに伴って、注釈の番号も変わりました。
*3:下記のリンク先の、2023年9月8日現在の話。
http://www.nids.mod.go.jp/researchfellow/anzen/06-takahashi.html
なお、2023年9月4日付の「編集手帳」においては、「防衛省の高橋杉雄氏」。
*4:途中の部分を省いているが、展開が論理的でないという趣旨ではない。
*5:一例を、当ブログ「読売より 日本知ってる 海外メディア」で書いた。
https://kiyotaka-since1974.hatenablog.com/entry/2019/08/29/212758
*6:この部分と、後述「ALPS処理水」、「科学的根拠がない」の部分のカギカッコ内は、筆者の強調であり、読売新聞2023年9月7日「編集手帳」からの引用ではない。
*7:通常運転時の処理水の事。