清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

肝心な ことを外して 合憲だ

1.直感的に予想していたが、国歌斉唱ピアノ伴奏拒否事件(清高命名最判平成19年2月27日民集61巻1号291頁)に続き、再雇用拒否処分取消等請求事件も原告敗訴であった。実際の判決文は、「平成22(行ツ)54 再雇用拒否処分取消等請求事件 平成23年05月30日 最高裁判所第二小法廷 判決」(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110530164923.pdf
にある。興味のある方の一読を乞うが、時間がないことと、一般レベルを考慮して、毎日.jp「君が代斉唱不起立:再雇用拒否訴訟 起立命令合憲判決(要旨)」(http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110531ddm012040148000c.html
も挙げ、以下においては、毎日.jpに基づいて検討する(毎日.jpの要約に問題のある可能性を否定はしないが、それについては清高の責任です)。

2.毎日.jpの記事に基づく判決の検討

「原告の歴史観や世界観を否定することと不可分に結び付くとはいえない。職務命令は、特定の思想を持つことを強制するものではなく」→この部分につき、私見は特にないが、「原告の歴史観や世界観を否定」し、「職務命令は、特定の思想を持つことを強制するものではない」と断言するのは、大した勉強もしないうちは控えたほうがよい。

「起立斉唱行為は、教員が日常担当する教科や事務内容に含まれず」→この部分が結構大事なはずである。再雇用拒否処分取消等請求事件において、たかが国歌斉唱で不合格にしたとすれば(高裁判決未読ゆえ、断言はできない)、重要性をはき違えたダメ判決としか言えない。

「卒業式や入学式という教育上、特に重要な節目となる儀式的行事では生徒等への配慮を含め、ふさわしい秩序を確保して式典の円滑な進行を図ることが必要」ならば、斉唱しなくったって問題ないんじゃないか? 私は、世界百か国以上旅行をしていないので、断言はできないが、よく言われるスポーツイベントだって、歌っていない人もいれば、座っている人もいる。民間の契約の問題だが、文句があるなら参加しなければよい。しかし、この事件の場合、再雇用不合格という制裁があるので、一般に言われる状況より強制の度合いは強いはずだが。

「学校教育法」などと書いてあってもダメだ。適用違憲(法令そのものを違憲とするわけではない、という意味。学問上の厳格な意味では用いていません)というのもあるので。最高裁判所だから仕方ないが、法律があるから即O.K.とはならない。

補足意見を見ると、画一化や強制について疑問を呈する意見もある。事の本質はそこなのに(読売新聞2011年5月31日朝刊13版3面(仙台では)によると、1989年3月に、「国旗掲揚・国歌斉唱について、「望ましい」から「指導する」に学習指導要領が改定される」とある。つまり、文部行政が強制したことが本質である(学習指導要領も、最初はガイドラインだったらしいが、いつの間にか法的効力を持つとされたらしい))、本質を外して被告を免責しているようでは、国民の権利を守る裁判官として失格だろう。

3.そもそも論

伴奏拒否にしたって、処分を出すほどではなく、CDを用いたり、校長自らが指揮してアカペラでやったりすればいいだけの話。今回の再雇用拒否だって、一番大事なのは教科を教える能力である。これらの大事なことを軽視して、記録をさらっと読んで(出す必要があるかが疑わしい(憲法判断に踏み込まないと原告勝訴にならないのかが疑わしいので))あっさり棄却するようでは、裁判官の職責を果たしているとは言い難い。国民審査でみんな×つけちゃおうか。

*ウェブサイトは2011年5月31日アクセス。