記事の紹介。ウォール・ストリート・ジャーナル 日本版「【オピニオン】日本の対中姿勢に変化、問われる野田首相の手腕」(マイケル・オースリン、2011年 9月 8日 18:31 JST。http://jp.wsj.com/Opinions/Opinion/node_303231) が興味深い記事だった。以下、引用しつつ、検討する。
「最初の数日間、野田氏の外交姿勢と中国に関する批判にも注目が集まった。野田氏は最近、雑誌『文芸春秋』への寄稿のなかで、中国の対外姿勢を「強圧的」と指摘、中国の急速な軍拡は「日本のみならず、地域における最大の懸念材料」になっていると述べた。また、新外相に就任した玄葉光一郎氏も、グローバルな政治・経済政策について、中国は公平に物事を進めるべきとの見解を示し、波風を立てている」とのこと。「こうした姿勢は、民主党がこれまで進めてきた、また、かつて自民党が取ってきた中国を取り込もうとする政策とは一線を画すものだ」ということらしい。そういう見方もあるのか、と啓蒙される出来である。もちろん、「日本政府の姿勢が変化した明らかな理由は、昨年の日中関係の緊張である」だとか、「アジア最強の軍事力に向けて着々と歩を進める中国は、第5世代ステルス戦闘機を公表し、初の空母を就役させたこと」だとか、中国側に(も)問題があることを正当に指摘できている(ようだ)。
「かつて民主党は、対中関係を劇的に改善させるとみられていた。党創設の主要メンバーの1人で、今は党員資格停止処分を受けている小沢一郎氏は、数百名の大代表団を率いて訪中し、日中関係の改善を宣言した。民主党初代首相の鳩山由紀夫氏も、日本、中国、韓国が中心となる「東アジア共同体」構想を提起した。こうした努力は、中国が日本にとって最も重要な貿易相手であるということを考えれば、自然であり、将来を見据えたものと思われた」とある。もちろん、政治には狙いがあるわけで、鳩山由紀夫政権の行動には、それなりの理由があるという冷静な分析である。
「野田氏の姿勢は、「A級戦犯は戦争犯罪人ではない」との物議を醸す発言もあって、中国の反発を招いた」とか。自説の開陳も、内閣総理大臣になったら、国益を考えないと。まさか、中国を怒らせることが国益にかなうの? 正論だから何を言ってもいいわけではないのがつらいところだ。
「野田氏と玄葉氏は、環太平洋連携協定(TPP)への参加を支持していると思われるものの、日本にはできるだけ多くの貿易パートナーが必要であり、やはり中国は、今後数十年、日本経済にとって欠かせない存在だろう」もなかなかの分析。いわゆるTPP、中国は参加していない(JETRO HP「環太平洋戦略経済連携協定(TPP)の概要」(2011年9月13日アクセス。http://www.jetro.go.jp/theme/wto-fta/basic/tpp/) 参照)。TPPだけではダメで、人口が多い中国も見据えなければならないのだ。