清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

小沢をね 収賄罪で 逮捕せよ

読んでもいない『週刊ポスト』2011年10月14日号の見出しが痛快である。ソースは、読売新聞2011年10月3日朝刊13版7面(仙台では)。
 
小沢一郎『抹殺裁判』 ならば、小沢一郎を贈収賄で逮捕せよ」
 
日本経済新聞電子版(コピペができない→記事に自信がない!?)「陸山会事件、西松建設事件の判決要旨」(2011年9月26日、19時31分。http://www.nikkei.com/news/headline/related-article/g=96958A9C93819695E0E4E2E6E08DE0E4E2EBE0E2E3E3E2E2E2E2E2E2;bm=96958A9C93819695E0E4E2E0E08DE0E4E2EBE0E2E3E3E2E2E2E2E2E2) によると、「岩手県秋田県では、公共工事の談合で小沢事務所の了解がなければ本命業者にはなれない状況」故、「西松建設公共工事の談合による受注獲得のために寄付しているのだから、同社としては西松建設による献金と小沢事務所に理解してもらわなければ意味がない」とした。また、「当時の水谷建設社長は胆沢ダム建設工事の受注に絡み(中略)、大久保被告の要求に応じて」合計1億円を手渡したと認定した。そして「公共工事を巡る小沢事務所と企業の癒着を背景とするもの」ともした。
 
胆沢(いさわ)ダム(国土交通省東北整備局のHPから。http://www.thr.mlit.go.jp/isawa/) は、国の事業のようである。小沢さんは国会議員である(なお、事件当時の小沢さんの委員会の所属等は調べていません)。東京地方裁判所の9月26日判決の通りの認定ならば、小沢一郎さんを収賄罪で逮捕したほうがいいんじゃないか? という疑問は、まっとうだと思った。
 
ただ、「その職務に関し」(刑法第197条など)に当たらない(職務関連性がない)ということなのだろう。しかし、「自己の本来の職務ではないが慣行上担当している職務」(*参照)だったり、「自己の職務に基づく事実上の影響力を利用する類型」(*参照)だったりであれば、職務密接関連行為として収賄罪が成立する(可能性がある。判例の見解)。極めて微妙で私もよくわからないが、逮捕→起訴→有罪になってもおかしくないのに、その動きがないのはなぜだろう?。
 
また、「献金者の利益にかなう政治活動を一般的に期待して行われるだけなら賄賂性は否定されるが、政治家の職務権限の行使に関して具体的な利益を期待する主旨なら賄賂に当たる」(最高裁昭和63年4月11日判決。*参照)のであれば、「公共工事の談合による受注獲得のため」というのは「具体的な利益を期待する主旨」といえるのではないか。
 
したがって、小沢さんは、収賄罪で捜査されるべきだと思うのだが、法解釈や証拠の面で、無理と判断したので、やけっぱちになっているのだろうか?
 
それにしても、日本は、税金の申告に問題があっても、簡単には脱税とされない。今回だって、修正すればいい話にしか見えないのに、なぜ刑罰権を行使したのだろうか? よくわからない事件である(もちろん、次元が違うことは承知している)。
 
*本エントリーは、西田典之『刑法各論』(弘文堂法律学講座双書、1999。最新版での確認を乞う)を参照しました。
 
**タイトル敬称略。