見たのは、二代目真山一郎「日本の母」。
正確を期すために、「NHKウィークリーステラ」2011年10月28日号84ページから引用すると、「無免許運転で死亡事故を起こした若者が、被害者の母親の養子となり立派に更生したという、実話を元にした」浪曲だという。
いい話だとは思うが、特殊事情がある話だとも思った。
被害者の母親は、拘置所に勤務しているという。『2円で刑務所、5億で執行猶予』(光文社新書、2009)の著者である浜井浩一によると、「裁判前に関わる専門家は、犯罪者を事件の加害者としてみているが、その後に関わる専門家は、犯罪者を一人の人間としてみている」(『2円で刑務所、5億で執行猶予』231ページ)という。実際にあった話とすれば、拘置所勤務の影響が大きいのだろう。
加害者は四十九日が来るまで被害者に詫びたという。これはなかなかできないことだろう。悪いことをすると負い目があるものだから。
犯罪被害者でない読者としては、いい話だな、でいいのだが、実際に被害者に態度を強制するような言動は避けなければ、とも思った。
*文中敬称略