清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

受給をね 戒めるのが 「安易」だよ

上記社説の前に、「生活保護支給見直し「職業訓練休むと停止」厚労省」(2011年12月13日0時8分に、MSN産経ニュースが配信。http://sankei.jp.msn.com/life/news/111213/trd11121300090000-n1.htm) によると、「受給者が求職者支援制度の職業訓練を理由なく休み続けた場合、保護打ち切りができるようにする」という。
 
もちろん、憲法第27条第1項で勤労の義務があるので、このような施策がダメだとは言えない(伊藤正巳『憲法』(弘文堂法律学講座双書、1995)に説明があります)。しかし、突き詰めると、餓死するか、犯罪をするか、という選択肢を与えるということになってしまう。
 
餓死もよくないが、犯罪になると、我々や社会にとって問題になる。
 
また、給料・賃金が下げ止まらなくなる(最低賃金が厳格に守られているわけではないので)、ということで、労働者にとってもよくない。
 
給料・賃金が高すぎると、就職できない人が出る可能性がある。求職者が就職先を選べないことは、労働者にとってもデメリットがある。これらを直視して、いわゆるその他の世帯も、生活保護を受給しやすくすることこそが大事なのではないか? もちろん、生活保護受給より、労働のほうがメリットが大きい(金銭面、時間面、その他)社会をつくることが前提だが。
 
続いて社説。事の本質は、どうも「雇用保険に未加入の非正規労働者が、失業直後に生活保護に頼らざるを得ないケースが相次いでいる」ことと、「年金では暮らせず、身寄りもない独り世帯が増えている」ことのようだ。これらの解決が、現在解決すべき問題の、ほぼすべてのようだ。もっとも、私に言わせると、高齢者と働き盛りとされる人の差別をなくすことであるが。「甘えは許されない」のは、みな同じである。つまり、その他の世帯の受給を抑制したのであれば、高齢者世帯も抑制すべき、ということである。
 
新聞は「産業経済新聞」だが、経済オンチが出たのは、以下のくだり。
 
「安易に生活保護を利用する風潮が広まっていることも看過できない。(平成。清高補足)20年末の「年越し派遣村」が注目を集め、申請に抵抗感が薄まったことなどが遠因との指摘もある。生活保護に「安住」して、就業の機会があるのに抜けだそうとしない人も少なくない」
 
派遣村の問題も「雇用保険に未加入の非正規労働者が、失業直後に生活保護に頼らざるを得ないケース」なのではないのか? ところで、『活動家 一丁あがり!』(湯浅誠ほか、NHK出版新書、2011)によると、貯金10万円の人が家賃3万円のアパートを借り、月収15万円のアルバイトを探すのは、敷金や礼金の関係で容易ではないとのことで、地域によ盛るが、産経新聞社説より説得力があった。
 
「就業の機会があるのに抜けだそうとしない」という状況があるのであれば、「就業の機会」のほうに問題があるという視点がないのが、産経新聞社説の経済オンチぶりを示した、致命傷である。給料・賃金はどうなのか? 時間面の問題はないのか? など、考慮すべき点はいくつもある。
 
生活保護の供給者、すなわち国・納税者の立場に過度に立つのではなく、需要側・労働者側の視点も併せて考えるべきである。