少々遅くなってしまったが、読売新聞の文化面の解説で、あいちトリエンナーレの主催者のせいにして犯罪をスルーして実質的に肯定してしまった話を検討する。
今日取り上げるのは、読売新聞2019年10月17日統合版12版13面「「あいちトリエンナーレ」閉幕 補助全額不交付が波紋 助成の透明化 課題に」である。以下、引用も交えて検討する。
8日(2019年10月。筆者注)に再開された「その後」展(「表現の不自由展・その後」のこと。筆者注)。11日、抽選に当たり干渉したが、身分証明書提示などが求められることに抵抗を感じた(略)あいちトリエンナーレ全体としては見ごたえがあっただけに混乱が生じたことは残念だ(略)同芸術祭のあり方の再考は急務だ
記事を書いたのは文化部の泉田友紀記者だが、何すっとぼけているんだろ?
www.asahi.com (2019年8月8日0時40分)
と朝日新聞は報じているが、読売新聞はキャッチできなかったのだろうか(たぶん報じているが)?「混乱が生じた理由」のひとつは犯罪(=有罪、という趣旨ではない)であり、見もしない人の言いがかりなんだけど。
kiyotaka-since1974.hatenablog.com
をご一読。もちろん電話が想定以上に来たのに対応できなかったという一面は否定しないが、その大半が検討に値せず、中には犯罪行為があったということである。
続き。文化庁は、あいちトリエンナーレ2019に対する補助金を、一度採択しておきながら全額不交付としたが(
kiyotaka-since1974.hatenablog.com
をご一読)、それについて、
同芸術祭(あいちトリエンナーレ2019のこと。筆者注)の不手際が根本にあるとはいえ、補助金交付が見送られる理由は不明確で、国の恣意的判断と受け取られかねない恐れもある
難解な日本語ですなぁ。とりわけ「国の恣意的判断と受け取られかねない恐れもある」が。正しくは「国の恣意的判断と受け取らざるを得ない」だが、泉田記者が書きたいことであれば「国の恣意的判断と受け取られかねない」、または「国の恣意的判断と受け取られる恐れがある」だろう。
それはさておき、なぜ「不手際」が露見したか、わかんないかなぁ?多数の言いがかり(展覧会は見てから文句を言おう!それも迷惑にならない方法で。ビジネス一般でも電話は相手の時間を奪うから望ましくない)と前述の犯罪のせいなんだって。
筆者の「展覧会 中止の真相 まとめたよ 兼 気にいらない 展覧会は 犯罪で 止めてしまおう これが日本だ(2)」には、「補助金申請者である愛知県は,展覧会の開催に当たり,来場者を含め展示会場の安全や事業の円滑な運営を脅かすような重大な事実を認識していたにもかかわらず,それらの事実を申告することなく採択の決定通知を受領した上,補助金交付申請書を提出し,その後の審査段階においても,文化庁から問合せを受けるまでそれらの事実を申告しませんでした/これにより,審査の視点において重要な点である,①実現可能な内容になっているか,②事業の継続が見込まれるか,の2点において,文化庁として適正な審査を行うことができませんでした。かかる行為は,補助事業の申請手続において,不適当な行為であったと評価しました」とある。
もしこれが理由になるなら、例えば、「重大な事実を認識」出来なかったら補助金を交付したのだろうか?また、何事も起こらなかった場合も補助金不交付になるのだろうか? 答えは
にある。前者であれば認識が甘いほうがトクをしてしまうし、後者の場合不交付にする必要があるとは思わない(しなければいけないとなるが、それが妥当か疑問)。前述したが、実際は、「国の恣意的判断と受け取らざるを得ない」であろう。
なお、文化庁が示した①、②の要件が満たされていると思われることについては、「展覧会 中止の真相 まとめたよ 兼 気にいらない 展覧会は 犯罪で 止めてしまおう これが日本だ(2)」で書いた通り。また、
【補助金交付を】あいちトリエンナーレ補助金不交付について、立憲民主党・福山哲郎「もう再開をして安全性の確保もできてる。実現可能性も事業の継続性にも問題はなくなった」
— Mi2 (@mi2_yes) October 15, 2019
宮田亮平文化庁長官「重大な事実を文化庁に全く申請しなかったことによよりそれによって不交付決定を見直す必要はない」 pic.twitter.com/DoLBiyouwI
を参照。宮田亮平・文化庁長官の見解に対する批判は既に書いた。
重ねて書くと、あいちトリエンナーレ2019の混乱の原因は、多数の迷惑な言いがかりと一部犯罪のせいであり、あいちトリエンナーレ2019の一部である「表現の不自由展・その後」は再開したのだから、文化庁が文化資源活用推進事業に基づく補助金を全額不交付にする根拠はなく、国の恣意的判断であり、不当である。