清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

不倫において 「制裁」どれだけ 許される?

 

kiyotaka-since1974.hatenablog.com

 の続き。

 

「芸能界の 男女差別の 実例か」では、唐田えりかさんが一方的に制裁されているというニュアンスで書いたが、実際は違うようだ。以下、日刊スポーツが2020年1月25日4時0分に配信した下記記事(以下、①)を取り上げる。

www.nikkansports.com

 

正直、フジ住宅のCMを知らないので何とも言えないが、東出昌大さんも制裁を受けているということである。

 

以下、①から引用すると、

 同社(フジ住宅のこと。筆者注)は17年1月から東出をイメージキャラクターとして起用。昨年、放送された「家族を大切に篇」では、東出が「家を、家族を大切に。僕にできているだろうか、考え続ける」と、幼い息子役に語り掛ける内容だった。担当者は「今回の件が、CMの内容と全く逆でとても残念です」と話した。

 とのこと。

 

筆者がフジ住宅の件を取り上げたのは東出さんのCM打ち切りについて真っ先に見たからだという偶然からだが、フジ住宅に限って言えば、契約はさておき、上記引用からは、CM打ち切り、ならびに損害賠償請求はあり得ると思った。

 

ところで、どのブログであろうとも、よほどの専門的なブログでない限りは、ビジネスパーソンが多いと勝手に筆者は考えているが、ビジネスパーソンが不倫した場合は、東出さんみたいな制裁が妥当かは一考の余地がありそうで、それをメモしたくて東出さんの件を取り上げた。

 

筆者は菅野和夫『労働法』(弘文堂法律学講座双書)の第七版補正版(2006年。以下②)を持っているが(古いが、当時労働法の勉強をざっとしたということ。なお、筆者の知る限り、労働法学のスタンダードテキストなので、興味のある方は一読されたし)、その第3編第3章第10節第2款が「懲戒」であり、その4.に「懲戒の事由」(②.p371~)というのがある。②に懲戒事由は6つ挙げられているが、その6つ目が「従業員たる地位・身分による規律の違反」があり(②.p376~)、それも3つに分かれており、「(ⅰ)私生活上の非行」も懲戒事由になるのだという。(以下引用)

しかし労働契約は、企業がその事業活動を円滑に遂行するに必要なかぎりでの規律と秩序を根拠づけるにすぎず、労働者の私生活に対する使用者の一般的支配までを生ぜしめるものではない。したがって、従業員の私生活上の言動は、事業活動に直接関連を有するものおよび企業の社会的評価の毀損をもたらすもののみが企業秩序維持のための懲戒の対象となりうるにすぎない。一般的には、判例はこのような見地から就業規則の包括的条項を限定解釈し、私生活上の非行に対する懲戒権発動を厳しくチェックしている(②.p376)

 とのこと。その次に注釈(「*」で表記されている)がついており、例えば「組合活動に関連した公務執行妨害行為を理由とする懲戒免職処分を有効とした」(②.p376)り、「深夜酩酊して他人の家にちん入し、住居侵入時罪として罰金刑に処せられた従業員に対する」(②.p376)懲戒処分を無効としたりといった事例が示されている。

 

それを見た限りでは、ビジネスパーソンが仮に不倫しても即座に懲戒されるかは難しいと思った。

 

したがって、東出さんの件におけるCM打ち切りすべてが合理的といえるかについては疑問を呈するが、本エントリーで取り上げたフジ住宅に限っては認められそうな気がしている。

 

不倫が懲らしめられるべきかについては一考の余地があると思うが、不倫がリスクであることは書くまでもないだろう。