清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

ゴーン逃亡 弁護士さんの 責任か(2)

 

kiyotaka-since1974.hatenablog.com

 の続き。

 

この件につき、筆者が注目したのは、山口貴士弁護士の、2020年1月1日午前9時38分のツイート。

 本当?じゃ、調べてみよう。https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=332M50400000002 参照。

(保釈者等の視察)

 第二百五十三条 警察署長は、検察官から、その管轄区域内に居住する者について、保釈し、又は勾留の執行を停止した者の通知を受けたときは、その者に係る事件の捜査に従事した警察官その他適当な警察官を指定して、その行動を視察させなければならない。
2 前項に規定する視察は、一月につき、少なくとも一回行うものとする。
(事故通知)
第二百五十四条 前条に規定する視察に当たり、その者について次の各号の一に該当する理由があるときは、これを前条に規定する通知をした検察官に速やかに通知しなければならない。
一 逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
二 罪証を隠滅し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
三 被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え若しくは加えようとし、又はこれらの者を畏怖させる行為をしたとき。
四 住居、旅行、治療等に関する制限その他保釈又は勾留の執行停止について裁判所又は裁判官の定めた条件に違反したとき。
五 その他特に検察官に通知する必要があると認められる理由があるとき。
(視察上の注意)
第二百五十五条 第二百五十三条(保釈者等の視察)に規定する視察は、穏当適切な方法により行うものとし、視察中の者又はその家族の名誉及び信用を不当に害することのないように注意しなければならない。
(視察簿)
第二百五十六条 第二百五十三条(保釈者等の視察)に規定する視察を行つたときは、視察簿(別記様式第二十四号)により、これを明らかにしておかなければならない。

 正しそうである。

 

本記事のきっかけになったのは、紙で読んでいる、読売新聞2020年1月17日統合版13版32面の「弘中弁護士ら辞任 3人残留」という記事。その記事に下記の内容がある。

(略)検察側からは「弁護団は逃亡や証拠隠滅させないと言ったのに、結果に何も責任を感じておらず、無責任だ」との批判が出ている。 

 賢明な読者ならお分かりだろうが、正しくは、「検察は結果に何も責任を感じておらず、無責任だ」である(根拠はすでに示した)。仮に弁護団が読売新聞の記事のように言ったとしても、法的に責任を負うのは捜査機関なのである。

 

問題はそれのみならず、責任を負わないはずの弁護士に対する懲戒請求ということが起こっている。根拠は下記産経NEWSの記事。

www.sankei.com

www.sankei.com

「高野弁護士にも懲戒請求(略)」によると、

懲戒請求書では高野氏について「被告を管理監督する立場にいながら、このような発言をすることは、あまりに無責任であり

 とある。

 

しかし、「『被告を管理監督する立場』」という法的根拠は発見できなかった(もっとも、刑事訴訟法第89条~第94条、第96条、第98条の限りだが)。ただ、記事にあることが懲戒事由(弁護士法第58条第1項、第56条第1項)に当たらない(私見)ことを一般人が予見できるかはわからないが(違法な懲戒請求とは言えないと思う)。

 

要は、ゴーンさんが逃亡した件について、ゴーンさんの弁護人の責任を負わせる根拠がないので、懲戒請求といった軽はずみなことはやめたほうがいいということである。

 

なお、一連の経過は、

www3.nhk.or.jp

に詳しい。最終的な保釈は2019年4月25日であり(2019年3月6日にも保釈された)、そうすると犯罪捜査規範第253条にある視察が不十分だったということを問題にしたほうがいいだろう。