今日の読売新聞の主旨、それは野党は与党に従え、というもの。こういうのを普通は民主主義の否定という。以下、検討する。
最初に検討するのは、読売新聞2020年6月18日社説「通常国会閉幕 閉会中審査を積極活用せよ」
残念なのは、旧態依然とした与野党対立が目に付いたことだ。
立憲民主党など野党は、感染拡大の初期まで、安倍首相主催の「桜を見る会」の問題を延々と追及し続けた。その後は、補正予算に盛り込まれた持続化給付金などの事務委託費が高額だと批判し、再委託や外注に焦点を当てた。
建設的な提案よりも、内閣のイメージダウンを図ることを優先しているようでは、責任ある政党の役割は果たせまい。
凄いなぁ、これ。(例えば)アメリカや韓国の民主主義すら否定しちゃったよ。共和党vs民主党だとか、大統領・共に民主党vsセヌリ党などの後者が「建設的な提案」のみで、「内閣のイメージダウンを図ること」を全くしていないというなら証拠を示してもらおうか?
つまり、「旧態依然とした与野党対立」など世界中どこでもそうで、おそらく一党独裁でもそうなんじゃないか、党内抗争レベルで?
「安倍首相主催の「桜を見る会」の問題を延々と追及し続けた」(読売新聞社説)って、じゃ、「桜を見る会」(支出増大傾向。朝日新聞デジタル「桜を見る会、予算編成異常あり 大幅な支出超が常態化」(及川綾子。2019年11月26日 8時00分)
)の予算は無駄でないのか?共産党議員が質問しようとしたタイミングで名簿をシュレッダーにかけた(毎日新聞デジタル「桜を見る会 続々と「新事実」 質問通告直後に名簿廃棄、シュレッダー時計機能「実はあった」」(会員限定有料記事 毎日新聞2019年11月26日 22時55分(最終更新 11月27日 10時50分)。
)のは何も問題ないのか?公職選挙法や政治資金規正法違反の疑いがある(時事ドットコム「野党、「公選法違反」疑念強める 桜を見る会の安倍首相夕食会」(2019年11月15日07時19分)
ことすら追及してはいけないのか?読売新聞は、国の運営が血税であることを全く理解していないようである。
「補正予算に盛り込まれた持続化給付金などの事務委託費が高額だと批判し、再委託や外注に焦点を当てた」ことのどこが悪いの?貴重な税金をなるべく使わないことがどう「建設的な提案」ではないの?税金を使わずに効率的に運営できる方が悪いということか?
今日の読売新聞でひどいのは上記社説だけではない。統合版13版4面「#国会を止めるな 野党の運動不発」もそうである。以下、検討する。
今国会は、150日間の会期を延長せずに閉会し、野党がSNS上で呼びかけた「#国会を止めるな」運動は不発に終わった。
立憲民主党など野党は、「#検察庁法改正案に抗議します」がネット上で広がり、同法案を成立断念に追い込んだ再現を狙った。しかし、SNSの分析が専門の鳥海不二夫・東大准教授(計算社会科学)の調べでは、同法案を巡る投稿は一般市民や芸能人の投稿をきっかけに5月8~12日で約600万件に達したのに対し、「国会を止めるな」という言葉を含む投稿は、今月1~16日で約2万6000件にとどまった。
鳥海氏は「(略)素人の国会議員が仕掛けて成功するはずがない。あまりに浅はかだ」と指摘した(以下略)
(読売新聞2020年6月18日統合版13版4面より)
これらの引用部分で一番大事なのは、鳥海不二夫さんが自由民主党支持者であることである。というのは、国会延長の是非不問で「『浅はかだ』」と指摘しており、おそらく自由民主党支持者ゆえ延長しないのを妥当としたからであろう。
しかし普通の市民にとって大事なのは、国会の延長の是非そのものである。その価値判断をしないで野党叩きをするのを浅はかという。学問の体を整えただけで自らの支持政党を開陳したに過ぎない結果では分析とは言えない。
どうも読売新聞は、多党制民主主義が嫌いで、極端に言えば、自由民主党以外の政党を要らないと思っているようである。読売信条(
から)には、「責任ある自由」だとか「個人の尊厳と基本的人権」だとかという美名が躍っているが、本当は自由民主党以外は要らないということのようだから、自由だとか人権なんかどうでもいいということだと言われても仕方がない。