清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

保守の人の 批判潰しが 笑えるね

まずは、朝日新聞デジタル「首相、学術会議6人任命せず 会議側推薦の会員候補」(2020年10月2日5時。以下①)を見ていただこう。

www.asahi.com

 

①によると、

 菅義偉首相は1日、政府から独立して政策提言をする「日本学術会議」の新会員について、会議が推薦した候補者105人のうち6人を除外して任命した。国内の学者を代表し「学者の国会」とよばれる同会議が推薦した候補者を首相が任命しなかったのは、2004年度の法改正で会議が推薦する方式になって以降初めて

 とのこと。

 

今までやっていたことを突如やらなくなり、それについて説明不十分であれば、非難するのは当然だと筆者は思うのだが、そう取らないのがいわゆる保守(読者・視聴者が保守、または自由民主党支持と思っていると筆者が思っている人のこと。なお、保守と革新又はリベラルにつき、谷岡一郎『データはウソをつく(略)』(ちくまプリマ―新書、2007)p53、ならびに『新聞の正しい読み方(略)』(松林薫、NTT出版、2016)p84参照)のようで、例えば、②Buzzfeed「「学術会議で6年働けば、学士院で死ぬまで年金250万円」は誤り。フジテレビで放送、ネットで拡散」(籏智広太(はたちこうた)。2020年10月7日最終更新)

www.buzzfeed.com

によると、フジテレビ上席解説委員の平井文夫さんが「『学術会議で6年働くと、日本学士院で年金250万円を死ぬまでもらえる』」と「バイキングMORE」で言ったが、それは虚偽なのだという。

 

このようにいわゆる保守は、事実か否かにかかわらず、政権批判を潰そうと躍起になっているようである。以下に取り上げる③読売新聞2020年10月5日社説「学術会議人事 混乱回避へ丁寧な説明が要る」

www.yomiuri.co.jp

もそうだし、以下に筆者はそれに基づいて私見を述べる。なお読売新聞の菅義偉政権非難潰しキャンペーンは継続しているので、③の検討に後に取り上げる。

 

学術研究に関わる組織を政争の場にしてはならない。問題の所在をきちんと整理すべきだ(③)

 

簡単ですよ、問題の所在。①の見出しにある「学術会議6人任命せず」がなぜかということ。それ以外のことはない。ただし③については以下にも触れる。

 

学術会議は、推薦通りに任命するよう政府に求めている。野党は「学問の自由を脅かす重大な事態だ」として追及する方針だ。

 6人は自由な学問や研究の機会を奪われたわけではなく、野党の指摘は的外れだろう。(③)

実際の裁判でどう判断されるかはわからないが、野党の指摘が「的外れ」(③)というわけでもない。例えば、この理屈だと、大学の人事への干渉(芦部信喜憲法』(岩波書店)の索引から「大学の自治」を探して調べられたし)も何ら問題がなくなってしまう。大学に所属していなくても「自由な学問や研究の機会を奪われたわけではな」(③)いとなってしまうからである(在野研究者なんていくらでもいる。『在野研究ビギナーズ(略)』(荒木優太・編著、明石書店、2019))。つまり、人事への干渉は学問の自由に侵害になり得るのである。

 

 学術会議のあり方も問われている。(③)

 って、6人を任命しないことと何ら関係ないよね(6人を任命した上であり方を問うてもいいから)。

 

このように、読売新聞は、菅義偉政権非難を潰そうとしているのか、社説で関係ない論点をちらつかせているのである。

 

それのみならず、読売新聞のキャンペーンは、2020年10月8日、同9日の統合版にも見て取れる。10月8日の紙面であれば、13版3面の「スキャナー 任命拒否『適法』強調」だったり、12版8面の「気流」「推薦も拒否も 説明必要」(「拒否された候補者の自由な学問、研究を奪うものではない」と理由も書かずに書いてあるが、そうではないことは既述)。特にひどいのは④「【独自】学術会議を行革対象に…政府への勧告10年なく、組織・運営の見直し検討」(紙面は統合版13版1面)

www.yomiuri.co.jp

である。

 

④によると、

 政府が、日本学術会議行政改革の対象とし、運営や組織について見直しの検討に着手したことがわかった。年間約10億円の国費で運営されているにもかかわらず、法律に基づく政府への勧告が2010年8月以来、行われていないことなどから、河野行政・規制改革相の下、妥当性を検証する。

 日本学術会議法5条は、「科学の振興及び技術の発達に関する方策」「科学を行政に反映させる方策」などに関し、政府に勧告することができると規定している。しかし、勧告は10年8月、科学技術基本法の見直しなどについて行われたのが最後となっている。

 学術会議法4条と日本学術会議会則2条に基づく政府の諮問に対する答申も、07年5月の災害対策に関するもの以来、諮問がないため行われていない。同会則に基づく提言は過去3年間で、「学術の大型研究計画に関するマスタープラン」など80件以上出されている。

とのことだが、ひどい内容である。以下、理由を記す。

 

まず、「法律に基づく政府への勧告が2010年8月以来、行われていない」(④)とのことだが、日本学術会議法第5条は「日本学術会議は、左の事項について、政府に勧告することができる」のであって、する義務はない。

 

次に、「政府の諮問に対する答申も、07年5月の災害対策に関するもの以来、諮問がないため行われていない」(④)のは、政府の問題であって、日本学術会議の問題ではない。日本学術会議法第4条は「政府は、左の事項について、日本学術会議に諮問することができる」のであって、しない政府の問題だからである。

 

最後に「同会則に基づく提言は過去3年間で、「学術の大型研究計画に関するマスタープラン」など80件以上出されている」(④)のであれば、日本学術会議はきちんと仕事をしているとしか言えない。なお、④の「同会則」とは、日本学術会議会則第2条(意見の表出)「学術会議は、日本学術会議法(以下「法」という。)第四条に定める諮問に対する答申及び法第五条に定める勧告のほか、法第三条第一号の職務として、次に掲げる意思の表出をすることとし、その表出主体及び定義は別表のとおりとする。」のうち、「三 提言」のことである。

 

政府が問題としているからそれに乗ってさも問題あるかのような見出しはミスリードを誘うものであり読者に対して不誠実である。新聞の本来の仕事(分析)をしてほしいものだが、主筆フィクサー気取りのところでは無理かなぁ。