朝日新聞デジタル「立憲の衆院議員『拉致被害者生きてない』 抗議受けて謝罪と撤回」(2021年10月11日 14時19分(2021年10月11日 16時07分更新))をまずは見てみよう。
記事によると、
立憲民主党の生方(うぶかた)幸夫・衆院議員(比例南関東ブロック)が、北朝鮮による拉致問題について「もう生きている人はいない」などと発言したとして、拉致被害者家族会と支援団体「救う会」が11日、抗議声明を出した。生方氏は同日、ツイッターへの投稿で発言の撤回とおわびを表明した
という。そのお詫びはツイッター・生方幸夫アカウントの以下の2つのツイート。
9月の市民フォーラムにおいて、不適切な発言をしてしまいました。発言を撤回するとともに、拉致被害者の家族の皆様及び関係者の皆様にお詫び申し上げます。生方幸夫
— 生方幸夫 衆議院議員 立憲民主党 りっけん (@ubukatayukio66) 2021年10月11日
みなさんこんにちは。只今、救う会の西岡力会長にあって、謝罪文を渡して謝ってきました。拉致被害者家族の方、関係者の皆様に改めてお詫び申し上げます。本当に申し訳ありませんでした。また、千葉県の皆様にも大変迷惑をかけましたので、今県連の岡島幹事長に県連会長を辞任する旨、お伝えしました。 pic.twitter.com/vLumHbTw3H
— 生方幸夫 衆議院議員 立憲民主党 りっけん (@ubukatayukio66) 2021年10月11日
生方さんのツイートを2つ取り上げたが、2つ目の方の画像に「事実に基づかない」という風に書いてあるので、おそらく生方さんは大した情報も持たずに軽率な発言をしたのだろう。
しかし、気になるところもある。
まずは朝日新聞デジタルの記事から引用。
救う会などによると、生方氏は9月23日、千葉県松戸市で開いた「生方幸夫市民フォーラム」と題する集会で発言。拉致被害者の横田めぐみさんについて「生きているとは誰も思っていない。生きているなら帰すのではないか」などと語った動画がネットに投稿された。
家族会と救う会は声明で「生方議員は人の命にかかわる重大な人権問題について、日本政府の基本的立場を否定し、北朝鮮の主張に賛同している。拉致被害者家族と支援者、被害者自身の生命に対する重大な侮辱であり冒瀆(ぼうとく)だ」と抗議し、発言の取り消しと謝罪を求めた*1
という。
しかし、生きているかどうかが大事なのであり、どの政府の立場に立つかが大事なのではない。そういう意味で、朝日新聞の記事の限りでは、拉致被害者家族会と「救う会」の抗議の仕方は問題である。
次は、生方さんのツイートのうち、「みなさんこんにちは」と書かれているツイートにある画像から引用。
(前略)拉致被害者のご家族の皆様を深く傷つけ、拉致問題解決にむけて続けておられる皆様の努力を踏みにじる発言でした。(略)/私の発言はいうまでもなく党の見解とは全く相容れないものです。/今後、私自身、拉致被害者の生存を信じて、一日も早い拉致被害者全員の早期の帰国に向けてびりきながら全力で取り組んでまいる所存です*2
事実かどうかが大事なわけで、拉致被害者家族を傷つけるだとか、所属している党の見解と一致しないという問題ではない。また、「拉致被害者の生存を信じて」からは、生方さんは拉致被害者が生存しているという情報を持っていないことが窺われる。
今回の件は、生方さんの軽率な発言が原因も、抗議するのではなく、淡々と事実を説明した方がよかったのではないだろうか。他国なので調査には限界があろうが、大事なのは事実であり、感情や所属政党、政府との見解の一致ではない。