清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

リアルでも ネットでもデモ 少数派

 今日の読売新聞は、1面からくだらない記事を載せていた。くだらない記事なら取り上げるなよ、という非難は甘受するも、民主主義社会にとっては重要な話なので、当ブログで検討する。

 

 読売新聞オンライン「国葬反対『ツイッターデモ』、3.7%の投稿で全体の半数…4219回のアカウントも」(2023年1月24日6時52分)に、読売新聞2023年1月24日統合版1面、13版31面の記事の内容が載っている*1。ここでは読売オンラインの記事の1ページ目のリンクを貼る。

www.yomiuri.co.jp

 

 しかし、当たり前ではないか。そもそもデモ(デモンストレーション)をやる人は少数だからである。大多数は現状維持か関心がないか。調べるまでもないことだろう。

 

 そして、リアル(現実社会)であれネット(インターネット空間)であれ、デモをやることによって問題点が明らかになり、見ている人が関心を持ち、政治家も取り上げるのである。なお、筆者は、デモについては、『大人のための社会科(略)』(井手英策・宇野重規・坂井豊貴・松沢裕作、有斐閣、2017)。で学んだが、それを読んで、少数派が声を挙げることについてデモは有力な選択肢だという思いを抱いたので、読者の皆様も是非ご一読を。

 

 そもそもデモは少数派がやるもので、そのアピールで他の人が考察するきっかけになるのに、ツイッターデモを否定的に評価するダメな記事だったが、別の意味でもダメなところがあった。それは、安倍晋三国葬に反対することと、外国人の生活保護に反対することを、並列して並べていることである。

 

 安倍晋三国葬について、「『税金が使われるのに、国会で十分な議論を経ずに決まったのはおかしい』と思」*2うのは問題ないが、「<#国葬反対より外国人生活保護反対>」*3は成り立たない。根拠は、「生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置について」である*4内閣府HPにある。

https://www.cao.go.jp/bunken-suishin/teianbosyu/doc/tb_29_ko2_08_1_moj_b306.pdf

日本が加入している*5「難民の地位に関する1951年の条約」*6第23条には「締約国は、合法的にその領域内に滞在する難民に対し、公的扶助及び公的援助に関し、自国民に与える待遇と同一の待遇を与える」とあるわけだから、安易に生活保護を受給させないわけにはいかないのである。

 

 読売新聞オンラインの記事の1ページ目には、以下のようなコメントがある。

国際大の山口真一・准教授(計量経済学)の話「ネットでは思いが強い人ほど大量の発信をする傾向があり、ツイッターデモも同様だ。ネット世論が民意を正確に代弁していないことを理解していないと、強い意見に過剰に引っ張られ、判断を誤る危険がある」

しかし、それ(「強い意見」)は、読売新聞オンラインの記事においては、外国人の生活保護反対だけである。記事で安倍晋三国葬反対をも取り上げたので内容がおかしくなってしまった。結局は意見の内容であって、「ネット世論が民意を正確に代弁していないこと」など何の関係がないことは、リアルでのデモとまったく同じである。

 

 本エントリーで取り上げた読売新聞オンラインの記事には「国葬 安倍元首相」とある。読売新聞の狙いは、安倍晋三国葬について反対する人は少数だとしたいのだろう。仮にそうでも、内容の妥当性を問えばいいのであって、内容的に問題のある外国人生活保護反対の話を持ち出して、安倍晋三国葬反対を貶めてはならない。

*1:読売新聞オンラインの記事の1ページ目が統合版1面、2-3ページは統合版の13版31面に対応している。

*2:読売新聞オンライン「国葬反対『ツイッターデモ』、3.7%の投稿で全体の半数…4219回のアカウントも」2ページ目。

*3:同前。

*4:一部改正がなされているようだが、本文に影響がない。「改正」を読者各自で調べられたし。

*5:ユニセフ「用語の解説」には、締約、批准、加入、敬称、署名の意味が書いてある。

https://www.unicef.or.jp/kodomo/nani/history/hi_s2.htm

*6:UNHCR日本「難民の地位に関する1951年の条約」より。

https://www.unhcr.org/jp/treaty_1951