古い話だが、毎日新聞のサイト(http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20061026ddm041040025000c.html)によると、
「滋賀県彦根市の獅山(ししやま)向洋(こうよう)市長(65)は(10月)25日、職員が飲酒運転で人身事故を起こした場合も、事故や検挙の「報告義務はない」と述べ、市の「交通事故等処分基準表」から、職員に報告を求める記述を削除する意向を明らかにした。獅山市長は「何人も自己に不利益な供述を強要されない」と明記した憲法38条を根拠に「報告義務付けは憲法違反で人権問題。公務員だからといって報告させては職業差別になる」と述べた」
のだそうだが、このことが、本日の「ウェークアッププラス」で批判的に取り上げられた。
本当のところはどうなのだろう。
そもそも、憲法第38条第1項は、「被疑者・刑事被告人、および各種の証人に対して、不利益な供述(刑罰または、より重い刑罰を科される根拠となる事実の供述)を避けた場合、処罰その他法律上の不利益を与えることを禁ずる意」だそうだが(芦部信喜『憲法』新版補訂版参照)、本件の報告は刑事責任を追及するわけではないから、「不利益な供述」に当たらないので、報告を求めても問題がないと思うが、いかがだろうか(憲法の教科書は参照しているが、あくまでも私見である。各自の研究を請う)。