お盆休みということで、経済誌は合併号が多いが、内容はどうなのだろう?
1.日経ビジネス2009年8月10日・17日号p10によると、最高裁が違憲・無効判決に消極的だった理由の1つが、非自民党支持者が多くなるので、自由主義体制に影響があるためだということが載っていた。
しかし、「アジア唯一の民主主義国家」(同誌。ただし、雑誌が手元にないので、間違いの可能性があります)ならば、その結果は尊重すべきで、体制を守るために法を捻じ曲げたとすれば、独裁国家の裁判所と変わらないのではないか?
ともあれ、日経ビジネスの記事がウソであることを祈っています。
2.以前、大竹文雄さんのトンデモ発言(私見)を批判したが(「大竹(文雄)さん ちょっとおかしく ないですか?」(http://blogs.yahoo.co.jp/kiyotaka_since1974/45079900.html)
)、大竹さん、またトンデモかもしれない発言を披露した模様。
すなわち、週刊東洋経済2009年8月15-22日号p9(以下のカギカッコ内は、引用)によると、「不正に社会保障給付を受け取ることへの罪悪感が小さい社会では、失業保険が充実せず、解雇規制が強い」という、フランスの経済学者の説を取り上げている。
フランスの経済学者の説を詳しく検討していないので何とも言えないが、(私が考える)歴史からすると、にわかに信じがたいことである。
まずは解雇規制などなく、失業保険すらなかったはずである。それが社会主義勢力の台頭などがあり、解雇規制を厳しくし、失業保険も給付されるようになったはずなのである。このような状況で、道徳心が高いから、解雇規制が緩やかになったというのだろうか?
また、仮に失業保険にたかるとしたら、解雇規制強化のいかんに関わらず、失業給付の要件を厳しくするのではないか(「失業リスクそのものを引き下げる政策を取」る(「1つの方法は解雇規制を厳しくする」)ことはあるのだろうか)?
大竹さん、罪悪感と失業保険・解雇規制の話だけをすればいいのに、「市場原理主義が公共心を一掃してしまったという批判があるが、本当の問題」「は、公共心が低下し、不正な政府サービスの利用が増えると、政府による規制が強化され、逆に市場が機能しなくなる」などと、話を広げすぎてしまった(「市場原理主義が公共心を一掃した」側面がゼロ?)。
せいぜい正しいのは、「伝統的経済学が念頭においてきた極端に利己的な人々を前提とすれば、労働市場の規制が強くなる」くらいか。普通はクビになりたくないもんな。
最後に、「受給に関する道徳観が高いのは北欧諸国で、低いのはフランスやギリシアなどの地中海沿岸諸国」などという研究は、人種差別なのではないか?北欧の制度がどう道徳観を高くする(ように見える)かを研究すべきなのではないか?
以上、いろいろ書いてきたが、大竹文雄さんのウケ狙いは、人種差別だったり、論点をずらしたりと、あまり成功していないようだ。連載はやめて、勉強し直したほうがいいのかもしれない。