清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

デタラメな 見方で「批判」 意味ないよ

読売新聞2010年5月7日朝刊(仙台では)のメインコンテンツ(1面など)は、読売新聞社の緊急提言だった。デタラメなものの見方で、民主党の悪口(≠批判)を書いているだけの、おそらく歴史上最低の記事・提言だろう。以下、問題点を指摘する。

まず13版2面「競争力復活へ官民連携を」(丸山淳一)。「ギリシャの財政不安を受けて、6日の日経平均株価は、300円以上も値を下げた」というのは、グローバリズムかでは十分ありうることだが、大した根拠も示さずに、「『長引くデフレに加え、少子高齢化の進行で経済の規模は縮小していく。それなのに、鳩山首相は経済の足を引っ張ることばかりしている』。こんな見方が、市場を支配していることも一因だろう」と書いてはいけない。もしそうなら、就任以降、株価が下落し、日経平均株価はおそらく10,000円を割っているだろう(2010年5月7日現在で10,364円59銭。読売新聞2010年5月8日朝刊13版9面に拠る)。

次は13版9面「政財界希薄な関係」(植竹候一)。「鳩山首相は就任後、日本経団連御手洗冨士夫会長と一度も単独で面会していない。連合の古賀信明会長とは少なくとも官邸内で3回、雇用対策などをテーマに会談しており、対照的だ」、「歴代政権はこれまで、重要政策では経済界との協調を基軸に取り組んできた」と批判する。たしかに、社会党が参加していた細川政権の事例は載っている。しかし、「海外では政権と経済界の関係は密接だ」として、「米国」はいいとして、「フランスのサルコジ大統領」や、「韓国の李明博大統領」と、右派のイメージがあるトップを挙げて批判してはダメだ。左派政権がどれだけ「経済界との協調を基軸に取り組んできた」のかを挙げないのでは、紙面を埋めたにすぎないダメ記事である。

さて10面から(12版。13面のみ13版)の提言。

「選挙至上主義は政治をゆがめる」(10面)って?選挙で議席を取らなければ政治は出来ないのだから、無意味な悪口。1年もしないうちに審判では、腰をすえた政治などできない。得意の憲法改正を主張して、衆議院だけにするといった提言しかない。

子ども手当や高校無償化までも「財源なきバラマキ」(10面)と批判する。財源がないのは問題だが、子どもを育てるのにカネがかかるうえに、所得の少ない30代にメリットが大きいことからすれば、バラマキ批判は無意味。高校無償化は経済的、文化的及び社会的権利に関する国際規約第13条第2項(b)(未批准)にも書かれており、方向性は正しい。何でもかんでも「バラマキ」として、民主党の悪口を言うのはやめろ!

子ども手当につき付言。「子ども手当よりも保育所整備」(11面)?なぜ財源確保で両方してはいけないの?3面の「『子ども手当は反対です。仕事と育児を両立できる仕組みのほうが大切』」も、他の選択肢を考慮しないダメコメント。

公共投資を罪悪視せず、地方活性化を図れ」(11面)って?しかし、地方のほうがたくさん議員を送っているのに(一票の格差の問題)、まだ「地方活性化」なの?また、赤字国債が膨らんだことの一因は公共事業じゃなかったっけ(もちろん、社会保障費の増大などの原因を無視はしない)?

10面で「消費税まず10%」と書き、12面で「法人税引き下げで競争力強化」と書けば、経済的リテラシーがあれば、誰でも「『大企業優遇』『弱者いじめ』」(2面「競争力復活へ官民連携を」)と取るだろう(だからいけない、と主張するわけではない)。法人税引き下げに反対はしないが、それについて、どこにも、日本にいる企業が社会保険料を大して負担していないことには触れていないので(宮本太郎『生活保障 排除しない社会へ』(岩波新書)をご一読ください)、アンフェア。

この法人税の話、とにかくダメなので続ける。「流出の背景には少子高齢化で日本市場が縮小している」(12面)んでしょ?子ども手当のどこが悪いの?「貯蓄に回す」(10面)?それじゃ、貯蓄率ゼロが理想なわけ?堤未果『ルポ 貧困大国アメリカ』『同 供戞粉簀反圭顱砲任眛匹瓩茵貯蓄もなく借金で苦しんで生活が破綻する様がわかるから。

流出について付言すると、人件費や、差別意識の問題(某損害保険会社のCMで、「日本の企業がいい」という選択肢があった)はないのか?速やかに、人種差別を禁止する法律を制定すべきである。

「『法人税パラドックス(逆説)』」(12面)については、『週刊ダイヤモンド』で見たことはある。しかし、必ず法人税収の割合がGDP比で増えるわけではないのだから(「EU15カ国の法人実効税率と、GDPに占める法人税収の割合の推移」のグラフを見ても、法人実効税率と、法人税収/GDPが並行している場面もある。また、『週刊ダイヤモンド』のグラフも見たが、すべての国が実効税率を下げて法人税収/GDPが上がったわけではない)、財政悪化の懸念はあるはずなのに、なぜ指摘しない!

新聞は批判するのが仕事、悪口が仕事ではない!読売新聞の提言は、勘違いの産物だったようだ。

*文中敬称略