清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

官僚著 読む気のしない 本2冊

0.読売新聞2011年8月16日朝刊13版4面、同8月17日13版2面に、本の記事、ならびに広告が。

1.まず8月16日朝刊4面には、丹羽実・元駐露大使が「新著を出版」したという。

本は、『わが外交人生』(中央公論新社)。

読みたい方はご一読を。しかし、私は、以下の新聞に載った丹羽さんの発言によって、この本は読む気がしない。

「米紙ワシントン・ポストのコラムニストが鳩山前首相のことを『ルーピー』(愚か)と書いたが、ルーピーという言葉は、米国人1000人のうち1人が知っているかどうかぐらいの汚らしい言葉だ。同盟国の首相に対して失礼だ。だが、日本はそんな風に呼ばれる首相を持ってしまった」

直接ではないが、選挙で多数(過半数とは書けない)の人が民主党に投票し、その代表が内閣総理大臣になったのを、「そんな風に呼ばれる」とは、国民に対して失礼だ! もちろん、選挙民が間違った決断をすることはある。しかし、選挙の結果を尊重しないで、国益を唱えても仕方がない。こんな奴の書いた本など、読まないほうがマシ、と思わせる発言だった。

2.8月17日朝刊2面には、古賀茂明『官僚の責任』(PHP新書)の広告が。

「辞職を迫られた」とあるが、それなりの理由があるのではないか? 現政権を説得できる論理がなかったのではないか?

「『もう少し文句を言ってもいい』」って、新聞やネットを見た限りでは、「『文句』」は言っていますよ、みなさん。松本龍・復興担当大臣も辞任したし。

政治家や官僚「も、日本人のそうした国民性に大いに甘えてきたのだと私は思う」って、これが当てはまらないのは、現在の民主党議員が代表だろう。政権奪取からわずか。厳しい批判の洗礼が待っている。一方、一番甘えているのは、著者の古賀さんだろう。組織で働く身でありながら、その組織をさんざん批判して、いまだに官僚の地位を得ているんだもの。もっとも、国民が議論する問題だから、簡単に懲戒免職にしていいかはわからないが、古賀さんのも、いわゆる官僚の抵抗の一形態だと思うのは、気のせいか。

章題も検討。「第1章 『政治主導』が招いた未曾有の危機」が何かはわからないが、政権批判になっていないかは検討すべきだろう。一般の人の政権批判は自由としても、キャリア官僚ならば、政権の言うことには従うべきだろう(仮に政権の政策がダメだとしても)。まぁ、部下(キャリア官僚)ならば、上司(政権)の言うことには従え!ということですね。

「第4章 待ったなしの公務員制度改革」はいいとしても、この本のダメさ加減を決定づけた章題は、「第5章 バラマキはやめ、増税ではなく成長に命を賭けよ」である。

未読なので「バラマキ」が何かはわからないが、もし、いわゆる、自由民主党が言うバラマキ4Kならば、「バラマキはやめ」は安易である。農家個別保障は未検討、高速道路無料化はどちらもありうる、として高校授業料無償化と、子ども手当は、妥当である。高校授業料無償化には条文上の根拠もあるが(未批准だが、経済的、文化的、および社会的権利に関する国際規約第13条第2項(b))、それのみならず、特定扶養控除よりは、親が低所得であれメリットに与れるし、子ども手当も、年少扶養控除+児童手当に比べ、これも親が低所得でもメリットがあり、妥当な政策のはずである。『サンデー毎日』の連載も拝読したが、あえて隠しているか、分かっていないかだろう。

増税ではなく成長に命を賭けよ」は、成長できれば財政は相応に改善するのだが、もし成長できなかったらどうする? 国債がもっと増えたらどうする? 労働力人口の減少は、少子高齢化で容易に予想できますよ。「増税」が必ず悪いわけでもなく、困った人に行き届けばいいだろう。一方、減税は、おおむね高所得者が得をする(定率減税でも金額は高所得者が多い)。古賀さん、印税で儲かるから、「増税」が都合が悪いのかも。私利私欲も甚だしい。

3.というわけで、本エントリーで取り上げた2冊は、読む気が起きない