MSN産経ニュース「橋下知事を懲戒処分 弁護士業務停止2カ月 光市母子殺害TV発言」（2010.9.17 11:17。以下「橋下知事を懲戒処分」。http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100917/crm1009171118008-n1.htm）
によると、「大阪府知事で弁護士の橋下徹氏が平成19年、山口県光市の母子殺害事件の被告弁護団を懲戒請求するようテレビ番組で呼びかけた問題で、大阪弁護士会は17日、『弁護士としての品位を害する行為』として業務停止2カ月の懲戒処分にしたと発表した」という。
妥当かつめでたい処分である。大して調べもせずに、また説明すべきこと（刑事弁護人の役割、被告人側の主張など（たとえば、「殺意を否認して争っている」とだけ言えばよかった））を説明せずに、必要もない懲戒請求を煽ったのだから（黙って一人でやればよかった。それでも光市事件の弁護団の弁護人誰1人して懲戒されないだろうが（証拠は弁護団が握っている）。1人でやろうと100人でやろうと結論が変わるわけがない）、当然の処分である。
どこの会社でも、たとえば、ブログで自分が従業員として働いている会社の悪口を書けば、下手すれば懲戒解雇だろう（判例を詳しく調べてはいないが、こんな事例を聞いたことがある）。これに比べると本件処分は甘い可能性はあるが、ともあれ懲戒されたのはいいことである。
ただ、「橋下綜合（そうごう）法律事務所によると、橋下氏は実質的には弁護士業務はしていないという」（「橋下知事を懲戒処分」）ので、大して影響はない。しかし、こういう状況になると、己の罪と向かい合いたくなかったがために知事になったのではないか、と疑ってしまう。
ところで、橋下先生、反省はしていないようだ。MSN産経ニュース「懲戒の橋下知事『債務整理ＣＭは？弁護士会と僕の品位違う』と反論」（2010.9.17 12:08）
によると、橋下さんは、「『債務整理の広告を出している弁護士』」は品位がないと言ったそうだ。内容の問題はあるが、宣伝が品位がないとしたら、広告会社も品位がないことになろう。そうなれば、経済活動が立ち行かなくなるだろう。つまり、言い分としてむちゃくちゃである。
さらに、MSN産経ニュース「懲戒の橋下知事『品位ない弁護士なら北新地にいっぱいいる』」（2010.9.17 13:32。以下「懲戒の橋下知事」。http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/100917/trl1009171337011-n1.htm）
によると、「『（歓楽街の）北新地に行けば、品位のない弁護士はいっぱいいる』」とも言ったという。しかし、仕事とプライベートを含む状況を一緒にするな!
最後に、「懲戒の橋下知事」によると、「『今までの懲戒事例をみれば、弁護士会の品位の基準が、いかにいいかげんなものかが分かる』とし、「視野の狭い弁護士が判断している』と処分に対する不快感を示した」という。今までの事例は見ていないし、実際「『基準が（中略）いいかげん』」なのかもしれない。しかし、どこの社会でも自分の職業の悪口を公の場で言えば、何らかの制裁は仕方ないと思う。
*ウェブサイトはすべて2010年9月17日アクセス。
