清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

読売の 死刑の投書 検討す

読売新聞2010年9月19日朝刊12版8面「気流 日曜の広場」の特集は、「死刑制度を考える」。唐突だが、本エントリーでは、読売新聞に載った投書を検討する。

1.「海外と風土違う」(投稿者の名前などは略。以下同じ)。それによると、「日本は犯罪率が低く、他国とは違う社会風土・歴史を持つ国です」とある。

なんか人種差別的な匂いがしてきましたな。死刑があるので、他国よりすばらしいと読める。しかし、逆に、だから死刑は必要ないとも解釈できる。

「国際的な潮流に迎合せず」とあるが、迎合しないということは、他の人が享受しているものを享受できないことを意味するが、それでいいのか?自分が死刑を言い渡される側に立てない、想像力の貧困さが目立ち、なおかつ人種差別をしてしまっている、最低の投書であった。

2.「終身刑の導入を」、ならびに3.「『復讐』のようだ」。「死刑の次に重い刑が、仮釈放のある無期懲役という点」が「問題」(以上2.より)で、「死刑を廃止し、その代わりに、仮釈放のない終身刑を設けるべき」(2.より)とあるが、現在でも、実質的に「仮釈放のない終身刑」(2.より)と化しているので、意味のある提言ではなかった。また、諸説あるが、希望のない刑罰は「過酷」(3.より)と考えるので、現状の無期懲役が最高刑で特に問題はないと考える。

4.「凶悪犯罪を防ぐ」。これ書いた人、統計に興味がないようだ。「近年の相次ぐ凶悪犯罪」とあるが、以前より「凶悪犯罪」は減少傾向なのは、ちょっと調べればわかるだろうに。また、「凶悪犯罪の抑止」の効果が死刑にあるという研究を、私は見たことがない。たいした勉強もしないで投書し、それが載ってしまうことに「背筋が寒くなる思いです」。また、国家が人の命を奪うのも「背筋が寒くなる思い」にならないのだろうか?

5.「事件ない世望む」。「死刑判決に相当するような事件が起きない世の中になることを望むが、できることならば、他の方法で対処できないかと思う」とあるが、人間、カッカ来ることがあるから、「死刑判決に相当するような事件が起きない世の中」になるのは難しいな。ただ、貧困が少なければ、強盗殺人(刑法第240条)のリスクは減りそうだけど。

6.「刑執行は粛々と」。「法相の思想・信条によって、死刑執行のペースが左右されるのもおかしい」のは正論だが、それなら執行停止のうえで議論すべきだと思う。

7.「被害者の立場で」。「遺族が心無い言葉を浴びる二次被害も起きている」について。別に「遺族」だけではない。イラクの人質事件を始め、犯罪被害者一般がそうである(被害者に落ち度があっても、それをとがめるのが「二次被害」。自己責任論など論外)。また、加害者の関係者も「心無い言葉を浴びる二次被害」が「起きている」というのを聞いたことがある。「遺族」だけしか想像できないのではねぇ。「自分の家族や知人が犯罪に巻き込まれることを思い浮かべれば」とあるが、これも不勉強。「自分の家族や知人」に殺される心配をしろよ。

有益な投書もあったが、1と4と7を書いた人は、勉強不足であり、想像力不足であるから、投書の前に何回か原稿を見ることをお勧めする。