清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

石原と 佐野眞一らは 同じだな

週刊朝日』2012年10月26日号から連載された記事は、橋下徹大阪市長の怒りを買い、朝日新聞や、朝日放送に対する取材拒否に発展した問題で、その連載を『週刊朝日』が打ち切ったという。なお、編集長のコメントは、上記MSN産経ニュース(2012年10月19日20時7分配信)から。

本エントリーでは、先ず、『週刊朝日』の記事を引用しつつ、私なりの感想を述べ、その次に、橋下市長の言動を検討しようと思う。

1.『週刊朝日』の連載を読んで。

先ずタイトル。「ハシシタ 救世主か衆愚の王か 橋下徹のDNAをさかのぼり 本性をあぶり出す」(以下、「ハシシタ」だって。真っ先に思い出したのは、石原慎太郎東京都知事が、『日本よ』(扶桑社文庫、2004。単行本は2002年)で、中国人の「『民族的DNAを表示するような犯罪が蔓延することでやがて日本社会全体の資質が変えられていく』」と書いたことである(森達也/森巣博『ご臨終メディア-質問しないマスコミと一人で考えない日本人』(集英社新書、2005)p67に書いてある話だが、清高が単行本で確認済み)。

そもそも、佐野眞一さんと週刊朝日取材班(「ハシシタ」の著者)の書きたいことは、「敵対者を絶対に認めないこの男の非寛容な人格(清高が補足すると、「ハシシタ」p19「光市母子殺害事件の容疑者(ママ)弁護団への懲戒請求をテレビで煽り」など)であり、その厄介な性格の根にある橋下の本性であ」(「ハシシタ」p22)り、「そのためには、橋下徹の両親や、橋下家のルーツについて、できるだけ詳しく調べあげなければならない」(同 p22)としてルーツを調べ、第1回の結論は「橋下徹の周りには修羅が渦巻いている」(p23)ということだった。この段落の引用部分だけなら、何にも問題ない。そもそも、光市事件の弁護団への懲戒を煽ったりして、「敵対者を絶対に認めない」かのような言動をしたから書かれているのだから、身から出た錆である。また、昔、石原慎太郎がんが言ったとされる、「『選挙民は立候補した人のパーソナルヒストリーを知る権利がある』」(野中広務/辛淑玉『差別と日本人』(角川oneテーマ21、2009)という観点からも、問題ない。ただ、私は、本人の性格や言動だけ探ればいいと思っているが。

ただ、「ハシシタ」の最大の問題点は、被差別部落出身者ゆえにやくざ者の血が流れている、と読めることである。すなわち、橋下徹大阪市長のお父上「の出身地の八尾市安中地区には被差別部落があ」(「ハシシタ」p23)り、お父上は、安中地区の隣の「『柏原に土井系の津田組という組があった。そこの若い衆をやっとった』」(「ハシシタ」p23)だとか、お父上は「『“奈良の少年刑務所”で相撲をしとった』」(「ハシシタ」p22)だとか、被差別部落出身者=やくざ者、とはならないのに、そうであるかのように書いたことである。なお、被差別部落出身者と書くだけなら、何にも問題ない(これを問題あるとすることこそが差別である)。

もちろん、著者にも狙いがあり、「被差別部落出身という境遇や、自殺、殺人という物語の主要な要素が共通している」のが「中上健次の世界」(ともに「ハシシタ」p23)ということを言いたいのである(なお、中上健次さんについては、Yahoo! JAPANの人物検索から。http://talent.yahoo.co.jp/pf/detail/pp218675 )。中上さんの本は未読で判断しかねるが、被差別部落だから、またそこの出身者だから殺人や自殺をするわけではないので、まずい。

2.橋下徹大阪市長の対応の検討

MSN産経ニュース「橋下氏「朝日の記者の質問には答えない」 週刊誌出自報道を批判「恐ろしい考え方」」(2012年10月17日11時36分。http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/121017/ent12101711370010-n1.htm )によると、「橋下氏は「今の政治的行動に、父親の態度や生活が影響しているという考えなのかどうかを聞きたい。ルーツをあばくのが目的だと書かれているが、これは血脈主義、身分制につながるきわめて恐ろしい考え方だと思う」と記事を批判」したという。これが間違いだとは言わないが、橋下市長のコメント通りだと、親と子は似ている、と言ってはいけないことになってしまうので、難しい。

3.私見 

今回の週刊朝日の連載の問題は、被差別部落=やくざ者、と取れる表現など(連載記事の検討は、私が引用したもの以外にもあろう)が問題であり、被差別部落を出した事自体が問題にはならない(し、それがダメというのが差別である)。一方、橋下市長は、父親の生涯が現在の自分の人生に影響していると書くのは血統主義や身分制につながり、子にも影響するので怒っている。橋下市長の見解は間違っていないのだろうが、怒りのスケールが小さく感じた。また、橋下市長の見解通りだと、それはそれで微妙な問題をはらむ事にもなる。

*タイトル敬称略。タイトルを5・7・5にする関係で、タイトルに限り、石原慎太郎東京都知事のフルネームを表記しておりません。