「生活保護、国に負担軽減要求へ…大阪市戦略会議
「地方の負担軽減」(「生活保護、国に負担軽減要求へ…大阪市戦略会議」)という方向性が悪いわけではない。以前、岩波書店『世界』で、宇都宮健児弁護士が、生活保護は国の管轄にすべきだと発表していたのを見たことがある。
ウィキペディア「生活保護」(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%9F%E6%B4%BB%E4%BF%9D%E8%AD%B7#.E7.94.9F.E6.B4.BB.E4.BF.9D.E8.AD.B7.E4.B8.96.E5.B8.AF.E6.95.B0.E3.81.AE.E6.8E.A8.E7.A7.BB) を見ると、「保護世帯を世帯類型別に見ると、高齢者世帯、障害者世帯、傷病者世帯、母子世帯、父子世帯、その他の生活困窮世帯と分ける事ができ、中でも高齢者世帯(60歳以上)は趨勢的に増加しており、1980年度(昭和55年度)には全体の30.2%であったが2006年度(平成18年度)には50.2%と半数を占めるようになっている」とある。また、『生活保護の経済分析』(阿部彩ほか、東京大学出版会、2008)では、「高齢者や医療扶助が大半」(p15)と記されている。「就労に関する権限強化」(「生活保護、国に負担軽減要求へ…大阪市戦略会議」)が大した効果が出るとは思えない。
高齢者だから生活保護を受給させてよい、ということは、ある意味年齢差別である。となると、その他の世帯の人の受給も認めるべきだろう(もちろん、高齢者であれその他の世帯であれ「就労に関する権限強化」(「生活保護、国に負担軽減要求へ…大阪市戦略会議」)は同じ)。つまり、橋下大阪市長の指示は、現実離れの可能性がある。
橋下市長が求めるべきは(どの首長もそうだが)、すべての権限・負担を国に返還するということだろう。湯浅誠さんが年越し派遣村で求めていたワン・ストップサービスも、どちらかの権限にしたほうがいいはずである。