清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

改革の 評価難しい 司法かな

だいぶ遅くなったが、2012年3月25日20時から放送された、BS11「司法は身近になったのか 司法改革10年」という番組を観た。

内容は主に3点。(1)リーガルサービスの現状。(2)、法科大学院(法曹人口を含む)。(3)に、裁判員制度。(3)については特になし。精神国で司法の国民参加がなかったのは日本だけ(だった)と聞いているので。もっとも、とりわけ民事は専門家の裁判が主流だし、国際法廷もそう。なぜ刑事裁判だけが国民参加なのかは個人的に疑問には思う。しかし、何かの本ではないが、『みんなの意見は、案外正しい』(角川文庫)、ということで。

(1)リーガルサービスについては、だいぶ改善されている模様。

まず法律扶助。2001年度の補助金は、番組によると28.2億円。それが2011年度法テラス交付金は、169.5億円。

労働審判も使い勝手よくなっているようで、以前は訴訟のみで年1,000~2,000件、2007年の労働審判は4,000件を超えているという。

弁護士ゼロ・ワン地域も解消されているようだ。ただ、佐藤幸治さん(憲法学が専門の京都大学名誉教授)によると、8割以上の自治体は身近にサービスを得られない状況だとか。

ただ、リーガルサービスの充実は、実際は不十分らしい。番組に参加した専門家によると、民事訴訟行政訴訟はそんなに増えていないらしい。

(2)法科大学院、ならびに、法曹人口について。

合格者の増員は物議を醸しているようだ。日本弁護士連合会は、合格者人数の抑制を主張しているのは、読者もご存じだろう。

その一方で、番組は、企業向け大ローファームの出現、ゼロ・ワン地域の解消〈既述〉、地方銀行の定期的な弁護士採用(基本給は300万円で、大卒初任給と同じぐらいだとか。なお、東京の弁護士の初任給は、500~600万円)といったメリットがアナウンスされている。

一方、法科大学院制度は、問題がありそうだ。

予想以上の設立で、定員が多すぎ、その結果、合格率が減少している。それに伴って、社会人入学者が減少傾向にあるという(当初は55%だったが、現在は20%とのこと)。今さら書いても遅いが、初年度の設立基準が甘かったのかも。統合を進めるというが、地方の法科大学院を簡単に廃止できないのがつらいところである(当初は、全国に法科大学院を作る構想でもあった)。自然淘汰に任せるしかないのだろう。その他、未履修者の合格率が既修者と差がある問題(未履修者16.2%、既修者35.4%)、非法学部の入学者の減少(当初は40%だったが、現在は20%だという)も指摘されている。

気になったのは、新司法試験がいいと言いすぎていることか。ある人は、旧司法試験は、例えて言えば、医師をペーパーテストだけで要請するようなものだ、という趣旨のことを言っていたが、司法修習の存在を忘れた暴言であろう。もっとも、世界的に、大学院化が進んでいることもあり、学部段階での専門職養成がいいかどうかは難しいが。まぁ、論より証拠で、依頼者に、旧司法試験合格者と、新司法試験合格者のどちらがいいかを聞けばよいが、ある程度年月がかかる調査となろう。

それにしても合格人数。合格者全員が弁護士会に登録する必要は無いと思うので、減らす必要がないとも言えそうだ。平均年収を調べ、弁護士が供給過剰だというのであれば、減らすのもありと言える。ただ、番組では、裁判官と検察官の人口について触れられていなかった。総務省「法曹人口の推移」(2012年5月7日アクセス。http://www.soumu.go.jp/main_content/000077370.pdf )をご参照。平成16年から平成21年までどれくらい増えているか。裁判官は375人、検察官は216人、弁護士は6,358人の増加。ゼロ・ワン地域の解消のメリットはあれど、裁判官がいないと民事・行政裁判は開けない。民事・行政裁判の活性化のためにも、もっと裁判官を増やすべきだろう(検察官は、行政訴訟の場合、被告・国側の代理人となるが、起訴独占主義(国家訴追主義。刑事訴訟法第247条)を改めることが不可能だとは思われないので、裁判官より人数を増やす必要性は感じない)。

このように、いわゆる司法改革は、いい面と悪い面があるので、評価が難しいと思った。