清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

過去最多 よりも深刻 貧困が

本エントリーと直接関係ないので転載に気が引けるが、朝日新聞デジタル生活保護受給、過去最多213万人 8月、厚労省公表」(2012年11月21日12時22分。上からアクセス)によると、「8月時点で生活保護を受給している人は213万1011人で、前月より6342人増えて過去最多を更新し」(厚生労働省の速報値)、「世帯数は、前月より5230世帯増えて155万5003世帯で、こちらも過去最多」(同)とのこと。

世帯数と人数が約1,000ほど違うが、おそらく単身世帯が増えているのだろう。

ただ、朝日新聞デジタルなどの「過去最多」というのは、騒ぐほどでも悲観する程でもない。こんな情報よりももっと有益な情報を、テレビ番組の紹介の形で紹介する。

2012年11月19日20時から、NHKEテレで放送された「ハートネットTV シリーズ貧困拡大社会 File12 見過ごされた人たち」(以下、「番組」と表記)は、2012年11月26日13時5分からEテレで再放送されるが、朝日新聞などの「過去最多」の情報よりよほど勉強になるので、このエントリーにかかわらず、ぜひご覧いただきたい。以下においては、番組の内容を紹介するので、ネタバレが嫌な方は来週の再放送を見てからお読みください。

番組は、まず、平成19年の厚生労働省推計を示している。厚生労働省の推計によると、収入が生活保護基準以下の人で、生活保護を受けている人が32%、受けていない人は68%である。「過去最多」(朝日新聞デジタルより)の報道がいかにダメかがわかる。過去最多は悪くなく、予算を増やしたり、受給しやすくしたりすることを真剣に考えたほうがよさそうだ。

番組の紹介を続けると、水際作戦というのは実際にあるようだ。母親が脳卒中で世話が必要な50代男性(そうなると条件は厳しくなり、100件以上の求職も実っていない)は、仕事を失って貧困に陥っている。役所に相談したところ、「生活保護はダメだから職業訓練所を受けたらどう?」と言われ、水際作戦が見事成功となった。母親の治療のためにも生活保護を受給することが悪いとは思わなかった。

番組では、貧困に陥った人と、そんな人を支援する、フードバンク山梨の取り組みを主に紹介している。そのフードバンク山梨は、生活保護を受けてない理由を調査したところ(48世帯)、資産(たとえば、車など)がある29%、申請に抵抗がある(たとえば、親族に知られたくない)17%、働ける年齢がある(たとえば、病気なし)15%だという。

続いて、資産を理由に受給できなかった61歳男性の例が。7年前に仕事のストレスから体調を崩し退職。取材当時は年金7万円受給しているが、家のローンに消えてしまう。食事は1日1食で、親族と疎遠で、寂しさを紛らわすために酒も飲む日々。ガスも止められている。貧困に陥っており、親族の扶養も期待できないのだから、生活保護受給でいいかというと、家があるので難しいとか。売却すれば、というのも、立地条件や老朽化で売れない。取材当時は廃品回収業に従事するが、収入は不安定である。これを見て、酒のむなだとか、親族に言えだとか、もっと働けだとかいう人は、人間としてどうかと思わせる話であった。また、ほんのちょっとした事で貧困に陥ることがあることも想像できよう。

次は46歳男性。リストラで退職。路上生活も生活保護申請をためらう。取材の8年前に離婚。身寄りは県外の兄弟のみで、扶養を求めるのも難しいし、迷惑をかけたくもない。46歳男性は腎臓に持病があり、腎不全で入院。治療費を払えないのでやっと生活保護を受給することとなった。入院するほどの病気になる前に何とかするほうが、医療費もかからないし、社会復帰も容易そうだ、と思わせる内容であった。

フードバンク山梨は、結構工夫した支援をしている。企業から食料をもらうだけでなく、農地を立ち上げたり、自筆の手紙を出したりするのだという。こうしたテレビ番組では成功例しか載せないものだが、支援される側が満足であればそれでよく、選択肢を増やすのが大事だということである。

フードバンク山梨の人が言うように、「助けの声を上げにくい社会」であり、湯浅誠さんが言うように、「大変な人が放置されるとさらに社会が大変になる」(趣旨)ということを実感する、いい内容だった。