清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

引き下げは リアルを知らぬ たわ言か

2012年12月27日20時7分に朝日新聞デジタルが配信した記事(上からアクセス)によると、「田村憲久厚生労働相は27日の記者会見で、来年度予算編成で焦点の生活保護基準について「下げないことはない」と、引き下げを明言した」という。

 
田村さん、ならびに、とりわけ自由民主党の政治家さんって、おそらく生活保護のリアルについて勉強してないんだろうなぁ。いわゆる左系と見られるものを引用しても見ないだろうから(もちろん、左系とみられるものの内容が間違いだ、ということは意味しません)、読売新聞2012年12月26日朝刊13版36面に載った「急増 生活保護 3」を引用して理解してもらいますか。
 
生活保護を受給すると、自己負担が不要になるため、『ムダな受診が横行している』との批判がある(中略)だが、受給者が診察を受けるには、福祉事務所に出向いて医療券を発行してもらう必要がある。ケースワーカーがチェックするため、『好きなだけ受診できる』との見方には誤解も含まれていると、自治体の福祉担当者の多くは口にする」だって。
 
横浜市鶴見区では、11年度に頻回受診者(「月15日以上の頻度で3ヶ月連続して通院した」受給者と思われる。清高補足)が96人見つかった」が、「半数以上に必要性が認められた。受信回数を減らすよう指導されたのは44人で、その多くは腰痛などで整形外科に通う独居の高齢者だった。/『老いや失業で社会とのつながりが希薄な人が多い。医療機関が、居場所の一つになっているのでは』と同区福祉センターの(中略)保護課長は話す。/医療費の『ムダ』削減には、背後にある孤独や孤立にも目を向ける必要がある」という。これは、生活保護と関係なく言われていることだ。つまり、「『医療機関が、居場所の一つ』」というのは、生活保護プロバーの問題ではなく、受給者でなくても言われていることである。ゆえに、鶴見区福祉センターの保護課長のコメントは、正しい可能性が高い。
 
その他「長期入院の問題も根深い。生活保護の医療費の6割は入院費で、その内4割を精神科が占める。退院先が見つからず、入院を続ける『社会的入院』が多い実態は、長年変わらない」だとか、「貧困な人ほど治療の機会を逃し、重度化して受給者となる悪循環」も指摘されている。
 
記事は、読売新聞の独自取材に決まっているが、『14歳からの生活保護』(雨宮処凛・著、河出書房新社、2012)などに書かれている話(例えば、医療券発行)があり、信憑性は高そうだ。ゆえに、自由民主党の国会議員には特に、生活保護について書かれた本と、本エントリーで取り上げた読売新聞の記事ぐらい読んでほしいものだ。
 
ただ、最後に、読売新聞の記事にケチをつけると、「膨らむ医療費に『ムダ』批判」の文字が大きくて、「孤立高齢者ら病院が居場所」の文字が小さいのは、読ませるためとはいえ、ミスリーディングを誘う見出しである。