「制度がね 悪いのだから 当たり前」(http://blogs.yahoo.co.jp/kiyotaka_since1974/53658648.html)
で、公務員、とりわけ教職員(児童・生徒の卒業を控えているので影響が大きいと思われる)の駆け込み退職を取り上げたが、その続き。
読売新聞2013年1月25日朝刊13版35面「教員駆け込み退職 「制度おかしい」批判も 2月施行に疑問の声」に、私も知らなかった知見が書かれているので、以下、引用しつつ展開する。
埼玉「県条例には、定年の60歳に達していれば、年度途中の退職でも原則、年度末に退職した場合と同じ手当を受け取れる特例があり、駆け込みが多発した。国家公務員の退職手当を定めた法律に準じ」ているとのこと。「国家公務員の退職手当を定めた法律」は未読だが、この条例には合理性がありそうだ。ウィキペディア「定年」(2013年1月25日アクセス。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%9A%E5%B9%B4)
によると、「定年年齢のいつの時点で定年退職とするのかは、会社により異なる」として、「誕生日とする場合」と、「年度ごとにそろえる場合」がある。公務員は後者だが、前者との兼ね合いからおかしくない規定である(前者なら定年なのに後者なら定年でないというのもおかしい)。
だから、「東京都にはこの特例がなく、年度末まで勤めないと満額の手当をもらえない」ことのほうが非難されるべきだろう。埼玉県と東京都の比較については、YOMIURI ONLINE「駆け込み退職、制度に批判「2月施行おかしい」」(2013年1月25日10時10分。http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130125-OYT1T00031.htm)
をご参照。
というわけで、やはり、制度設計のほうが一方的に問題で、「「教育効果や影響を考えれば、条例施行日での配慮、特例措置などのソフトランディングもありえた。本人の落ち度なしに、突然来月から下がるとなれば、どうしても職業倫理だけでは押し通せない事情も出てくる」」という、諏訪康雄・法政大学教授(専門は雇用政策)の見解が妥当である。
ついでだから読売新聞2013年1月25日朝刊1面の「編集手帳」も検討すると、「埼玉県では110人が退職する(中略)ただ、お金をフイにしても駆け込まない先生が、1000人以上いるという(中略)道徳の教科書の余白を埋めるにふさわしいだろう」とある。
「編集手帳」からは、大勢の先生が退職を選択しなかったことが書かれている。退職しない先生も道徳的かもしれないが、退職する先生も道徳的である。働いてお金を稼ぐことの大変さがわかっているので退職を選択していると言えるからである。退職しない先生を持ち上げるのではなく、制度設計のまずさを咎められないところが、「編集手帳」のダメな所で、「編集手帳」関連の本(アマゾンでの検索結果は、http://www.amazon.co.jp/s/ref=nb_sb_noss_2?__mk_ja_JP=%83J%83%5E%83J%83i&url=search-alias%3Dstripbooks&field-keywords=%95%D2%8FW%8E%E8%92%A0)
は、オススメしない。