清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

菅直人の 視察のせいじゃ ないみたい

2014年5月14日早朝1時56分から東日本放送で放送された(テレビ朝日では5月13日2時26分から放送された「テレメンタリー2014 福島第二原発の“奇跡” ~メルトダウンを食い止めろ」(以下、「番組」と表記)を観た。

東日本大震災において、不幸にも、東京電力福島第一原子力発電所メルトダウン炉心溶融)してしまったが、福島第二原子力発電所メルトダウンの危機があった。当時福島第二原子力発電所・所長だった増田尚宏を中心とする「チーム増田」がどのようにして危機を食い止めたのかを探った番組である。

番組によると、福島第二原子力発電所の原子炉は4つすべて自動停止した。それはよかった。しかし、3メートルの津波予報は受け取ったが、実際は推定9メートル、敷地内で18メートルにまでになった、想定外の津波である。そして、その津波が瓦礫を運んだので、運ばれた瓦礫が原子炉の扉を変形させ、水が入る事態に。その結果、海水熱交換器建屋が壊れ、原子炉が冷やせなくなった。菅直人・当時内閣総理大臣は、福島第二原子力発電所に対して「原子力緊急事態宣言」を発令した。また、福島の原子力発電所を視察した。

原子炉が冷やせなくなったので、最悪の場合、ベント(上記放出)をしなければならなかった。そこで、福島第二原子力発電所から半径3キロメートル圏内の住民に避難指示を出した。しかし、そのベント、誰もやったことがなかった(運転管理部長のコメント。ただ、当たり前の話だが)。

2011年3月12日15時36分、福島第一原子力発電所が水素爆発。だが、福島第二原子力発電所・所長は爆発の原因を理解できなかったという。そんな状況でも、福島第二原子力発電所の危機は刻々と迫っていた。

そのとき、福島第二原子力発電所では、外部電源4回線のうち1回線が使えたが、炉心を冷却する建屋には繋がっていなかったので、電源はないも同然だった。そこで増田は、危機管理マニュアルにはない、想定外の行動に出る。それは、回線が生き残っている、廃棄物処理建屋からケーブルを引くことであった。しかし、海水熱交換器建屋から800メートルのところだった。普段は機械で1ヶ月かかる作業だった。それを、200人の人海戦術で、1日でやったのだ。そのお陰で(電源がつながったので)、ベントをせず冷却停止でき、事なきを得た。

事故を起こさないのは当然のこととはいえ、さらなる大事故を防いだ「チーム増田」には敬意を表したい。

ところで、福島第二原子力発電所と、福島第一原子力発電所の違いは何か?第二の方は、電源が残っていたので、かなり難しい作業でも結果がでたが、第一の方は全電源喪失(ステーション・ブラックアウト)が発生し、中央制御室の機能が全くなくなった。第一の不幸はあれ、第二の方は幸運と、「チーム増田」の尽力で最悪の事態は免れたようだ。

番組その他を見た限りでは、菅直人・当時内閣総理大臣の視察のせいでメルトダウンなどの事故が起こったしたということはやっぱりなさそうである。番組では福山哲郎・当時内閣官房副長官にインタビューしているので、菅政権のせいにしにくいという見方もあろうが、津波と全電源喪失の前では、大したことではない。

※タイトル、文中敬称略