清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

ニッポンの 真似をするなよ 中国サン

少々古いが、読売新聞2020年9月28日社説「中国語教育強化 少数民族の抑圧は許されない」

www.yomiuri.co.jp

って、賢い人に読ませると、(中国が日本の真似をしているのが許せないのかな)となるという話。以下、検討しよう(特に断りのない限り、引用は上記社説より)。

 

 少数民族が独自の言語を使う権利は、国際規約で保障されている

 社説の「国際規約」は、市民的及び政治的権利に関する国際規約第27条のことである。それでは、市民的及び政治的権利に関する国際規約の批准国等を見てみるか。

 

外務省HP「市民的及び政治的権利に関する国際規約(英語略)締約国一覧」

https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kiyaku/2c_001_1.html によると、中華人民共和国は1998年10月5日に「署名」しているが、「批准」「加入」「承継」(後述、ユニセフの用語の「継承」は同じ意味と判断)、どれもしていない。これらの概念につき、「ユニセフ 子どもと先生の広場 用語の解説」によると、

締約(ていやく)
条約に批准(ひじゅん)、加入(かにゅう)、あるいは継承(けいしょう)していることで、条約の実行とその進み具合や状況を報告しなくてはなりません

批准(ひじゅん)
条約を国会でよく話し合って認め、国際的に宣言することです

加入(かにゅう)
署名(しょめい)の順序を省略して、そのまま条約を受け入れることです。

継承(けいしょう)
チェコスロバキアや旧ソビエト連邦などのように現在は数ヶ国に分かれていますが、当時の国家の条約をそのまま受け継いでいることです。

署名(しょめい)
条約の趣旨と内容に基本的に賛同することです。ただし、この条約に法律の力によってしばられることはなく、条約の実行は義務ではありません。

       (「ユニセフ 子どもと先生の広場 用語の解説」より)

 

である。となると、中華人民共和国は、市民的及び政治的権利に関する国際規約の実効は義務ではないことになる。というわけで、社説、間違い。残念!もちろん中華人民共和国の態度を肯定的に評価する趣旨ではない。

 

中国北部・内モンゴル自治区モンゴル語の授業が減り、標準中国語による教育が強化された。少数民族モンゴル族向けの小中学校で、「国語」教科書が標準語版に変わり、「道徳」と「歴史」も順次切り替えられるという。

 自治区では、モンゴル族が人口の約2割を占めている。住民らが「民族文化の危機」を訴え、授業のボイコットや街頭デモなどの抗議行動に出たのは当然だ。

 

お、大日本帝国みたいだねぇ。『現代の日本史A』(山川出版社、2013年発行)p59によると、「1930年代後半になると朝鮮・台湾に対する同化政策が強化されて(略)日本語の使用が強制された」とあるねぇ。あと、韓国併合時の武断政治って、たとえば朝鮮語言論の自由がなかったんだって。大阪産業大学人間環境学部 コミュニケーション学科 教授、藤永 壯(たけし)HP 『ナルゲ 翼をください』「1910年代の武断政治

http://www.dce.osaka-sandai.ac.jp/~funtak/kougi/kindai_note/Budan.htm によると、

 (3)言論・集会・結社の自由剥奪

 (略)

 朝鮮語の民間新聞・雑誌は発行禁止

                    (「1910年代の武断政治」)

だそうだ。なお、 弘谷, 多喜夫; 広川, 淑子「日本統治下の台湾・朝鮮における植民地
教育政策の比較史的研究」(北海道大学教育学部紀要第 22号)

https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/29085/1/22_P19-92.pdf  p29にも「朝鮮文字の新聞の刊行は許可しなかった。」とある。ホント、大日本帝国と似てるねぇ。

 

 中国の憲法にも、「少数民族がそれぞれの言語、文字を使用し、発展させる自由」がうたわれている

 

 中華人民共和国憲法第4条第4項にある(『[新版]世界憲法集』(高橋和之・編、岩波文庫、2007)。中華人民共和国のすることが望ましいわけではないが、この条文の侵害かはわからない。大日本帝国は発行の禁止だったり、使用の強制だったわけだが、それと同じように評価できるかはわからない。なお、日本の教育だって、その土地の方言よりは標準語を用いるものだろう(この部分は未検証)。

 

 「一国二制度」に基づき、自由と民主主義が根付いている香港の歴史と文化を否定し、中国共産党の価値観を一方的に植え付けようとする試みである

 

も何も、もともと中国だったわけなのよ、香港って。 だから無邪気に「自由と民主主義が根付いている香港の歴史と文化を否定」なんて書くべきではない。

 

kiyotaka-since1974.hatenablog.com

 でも読んで勉強ね。

 

 日本は、人権尊重の価値観を共有する国と連携し、中国に懸念を伝え続けていくことが重要だ

 

で締めるが、そんな暇があったら植民地支配の反省をすべきだよな。かつては発行禁止や使用強制をしたわけで、現在の中華人民共和国よりひどいと評価できるかもしれないからだ。

 

国際法も知らない、歴史も知らない、そんな人が「じんけんだぁ~」なんて書いても正直馬鹿馬鹿しい。