清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

昭和天皇 並べたことは 正しいよ

 びっくり仰天のニュースが。

 

 ①産経新聞ウクライナ投稿に政府が抗議 昭和天皇ヒトラー並べ『ナチズム、全体主義』」(2022年4月25日13時44分)

www.sankei.com

によると、

 磯崎仁彦官房副長官は25日の記者会見で、ウクライナ政府の公式アカウントが昭和天皇の肖像をナチス・ドイツヒトラーなどと並べナチズム、全体主義の象徴とした動画を発信したことに関し「同列に扱うことは全く不適切で極めて遺憾だ。直ちに削除するよう申し入れた」と述べた。

 

 動画は1日に投稿された。ロシアのプーチン政権を「現代のファシズム」と批判し、全体主義やナチズムは1945(昭和20)年に敗北したとするシーンで昭和天皇の肖像とともに、ヒトラーとイタリアの独裁者ムソリーニの写真を並べている

とのこと。

 

 そして、②毎日新聞ヒトラーと一緒に昭和天皇の写真 ウクライナ政府が動画から削除、謝罪」(2022年4月25日7時58分(最終更新 同 13時22分))

mainichi.jp

によると、

 ウクライナ政府は24日、ツイッターに投稿した動画の中で、昭和天皇の顔写真を掲載したことに日本国内のネットユーザーなどから批判が高まった事態を受け、動画から昭和天皇の顔写真を削除し、謝罪した。当初の動画には、ユダヤ人大量虐殺(ホロコースト)を行ったナチス・ドイツの独裁者ヒトラーやイタリアのファシズム指導者ムソリーニと共に、昭和天皇の顔写真を並べていた。

 動画は「現代ロシアのイデオロギー」と記した英語の字幕から始まる1分21秒の映像で、プーチン露大統領の演説などが映し出され、ロシアの「差別主義」を非難している。問題の場面は1分11~14秒付近で「ファシズムとナチズムは1945年に敗北した」と記し、昭和天皇ら3人の顔写真を並べていた

とのこと。

 

 ウクライナ政府の動画は、記事の限りでは何も問題ないが、それに難癖をつける日本政府、そして日本人が相当数いたということが恐ろしい。

 

 そもそも、大日本帝国、ドイツ、イタリアが、枢軸国*1の中心だったことは、否定のしようがない。

 

 また、ナチズムも否定のしようがない。

ナチズムとは - コトバンク の『日本大百科全書(ニッポニカ)』の解説を引用しよう。

 1920年代から第二次世界大戦終結まで、ドイツの民族運動を指導し、33年以後は政権を担当した「国民社会主義ドイツ労働者党」(略称ナチス、ナチ党)の思想原理。この時期にイタリアや日本でも登場したファシズム全体主義の一種。したがって、ナチズムは、ファシズムに共通の性格をもち、反個人主義反自由主義、反民主主義、反議会主義、反社会主義、反マルクス主義などを標榜(ひょうぼう)するとともに、国家すなわちファシズム政権が政治・経済のあらゆる面にわたってコントロールすること、また国益が私益に絶対的に優位することを主張する

大日本帝国について、これらを否定できるだろうか?治安維持法大政翼賛会*2、など。

 

 しかし、『日本大百科全書(ニッポニカ)』によると、肝心なのは以下のところらしい。

 しかし、ナチズムの特色は、とくにその民族の概念にみられる

これを出されると、(大日本帝国とナチズムを結び付けていいものか)と思ってしまったが、前述の「共通の性格」*3があるので、やはりドイツ、イタリアと同一視されても仕方がない。そして、大日本帝国の主権者は、天皇である*4。だから、1930~40年代の天皇である昭和天皇ヒトラームッソリーニと並べるのは妥当であり、文句を言うべきではなかった。

 

 なお、②に「『差別主義』」とあるが、植民地にした朝鮮半島出身者を日本人と平等に扱ったという根拠を筆者は知らない。それどころか、昨今賑わしている、いわゆる徴用工問題は、日本人にも適用された国民徴用令のみの話ではなく、その前段階の官斡旋なども問題とされており、歴史学の世界において「朝鮮人強制連行」*5とされているものである。従って、大日本帝国の「『差別主義』」を否定できない。

 

 というわけで、ウクライナ政府の公式動画の内容は妥当なのだが、日本政府、ならびに、一部日本人の脅しに屈してしまったようだ。肝心なのはウクライナの勝利でも(だから日本政府や日本人の抗議に謝罪したものと思われる)、日本人として恥ずかしく思った。

 

 

*1:コトバンク「枢軸国」をご一読。

https://kotobank.jp/word/%E6%9E%A2%E8%BB%B8%E5%9B%BD-83272

*2:正直、筆者の理解が甘かったので、読者の皆様においては、コトバンク大政翼賛会」を素直に読んでほしい。

https://kotobank.jp/word/%E5%A4%A7%E6%94%BF%E7%BF%BC%E8%B3%9B%E4%BC%9A-91487

*3:コトバンク「ナチズム」の『日本大百科全書(ニッポニカ)』の解説より。

*4:大日本帝国憲法第1条、第3条、第4条参照。『ポケット六法令和4年版』(有斐閣)の、日本国憲法第1条の参照条文を参照した。

*5:コトバンク朝鮮人強制連行」をご一読。

https://kotobank.jp/word/%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E4%BA%BA%E5%BC%B7%E5%88%B6%E9%80%A3%E8%A1%8C-98019

 なお、外村大『朝鮮人強制連行』(岩波新書、2012)、ならびに『朝鮮史(新版 世界各国史2)』(武田幸男・編、山川出版社、2000)においても言及されている。