朝日新聞デジタル「原発事故の国の責任、最高裁が認めない判決 『防潮堤でも防げず』」(2022年6月17日20時25分)をまずはご覧ください。
福島第一原子力発電所の事故について、国の責任を認めなかったということと、その解説が書いてある。
他の新聞もそれぞれ解説があるが、本エントリーでは、朝日新聞のほかに、日本経済新聞をも取り上げる。「原発事故、国の津波の予見可能性判断せず 最高裁」(2022年6月17日22時12分)。
あえて日本経済新聞の記事を取り上げたのは、
国の責任を認めた3件の控訴審判決(福島、千葉、愛媛訴訟)は長期評価について「相応の科学的信頼性がある知見」と強調した。試算から津波を予見することができたにもかかわらず、対策を取らなかった国に責任があると結論づけた。
これらに対して、国の責任を否定した群馬訴訟の控訴審判決は、地震学者からも異論が出ていたなどとして長期評価の合理性や信頼性を疑問視。「国の対応に問題があったとまで認めるのは困難」と指摘した
の部分ゆえである。なお、前述の朝日新聞で、本エントリーで大事なところは以下の部分。
東京電力福島第一原発事故で被害を受けた住民らが国に損害賠償を求めた4件の集団訴訟
最高裁は、先行した福島、群馬、千葉、愛媛の4訴訟について判断。東電に対しては3月に約3700人に計約14億5千万円の賠償を確定させた。この日は、高裁段階で結論が割れた国の責任について初の統一判断を示した(以上、朝日新聞デジタル「原発事故の国の責任、最高裁が認めない判決 『防潮堤でも防げず』」)
法的構成の是非は置いておいて、高等裁判所段階で多数が国の責任を認めたのに、今回、ならびに今後は、国の責任を認めない判決が出ることが予想される。
もし今回の最高裁判決がおかしいと思うのであれば、国民審査という手もあるが、選挙において自由民主党や公明党以外に入れるという選択肢もある。
日本国憲法において、第6条第2項で、「天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する」ことになっており、それ以外の裁判官は内閣が任命することになっている(第79条第1項。なお、裁判所法第39条)。
https://www.courts.go.jp/saikosai/about/saibankan/index.html で確認できる。筆者が2022年6月17日にアクセスしたところ、全員が、自由民主党・公明党連立政権下で指名・任命されている。この状況を変えるためには、相当な期間自由民主党、公明党以外の政権が続き、裁判官が入れ替わるということもありなのである。
アメリカ合衆国の連邦裁判所の判事や、大韓民国の大法院の判事が誰になるかでもめることがあるが、日本国は、1955年体制以降、ほぼすべて自由民主党政権なので、自由民主党の人が気にいる人が指名・任命されていると推定されるので、アメリカや韓国と違ってもめないというか、敏感になれないように思う。今後は最高裁の判決にも注目し、判断に問題があると思えば、政権を変えるというのも一案であることを頭に入れておくべきである。