葉梨康弘・法務大臣が、以下のような発言をし、結果、法務大臣を辞任した。時事ドットコム「『死刑のはんこ押す地味な仕事』 教団問題でTV露出―葉梨法相が発言」(2022年11月9日21時29分)
から引用すると、
「死刑のはんこを押し、昼のニュースのトップになるのはそういう時だけという地味な役職」
「旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の問題に抱きつかれてしまい、一生懸命解決に取り組まないといけないということで、私の顔もテレビに出るようになった」
これらの発言は「自民党衆院議員の会合」(時事ドットコムより)でなされたということだから、おそらく内輪受けを狙ったつかみなのだろう。そういう状況をとやかく言う気はしない。文章を見ても誰かを傷つけるという要素がないし。
それよりも重要なことは、やめるべきは、葉梨さんではなく、死刑であるということである。『サステナブル・ビジネス・マガジン alterna』「こんなにある、国連から勧告を受けた日本の人権問題」(長濱慎、2021年10月13日)
によると、国連人権理事会から日本は217の勧告を出されているが、そのうち34の勧告の受け入れを拒否し、死刑の廃止等の勧告は21になるという*1。
「【拒否の理由】」には「死刑問題は各国が自ら決定すべき問題」とあるが、それならすべての人権がそう言えてしまい、結局人権が保障されないことになるから、理由になっていない。世界人権宣言第3条にある「すべて人は、生命(略)に対する権利を有する」*2ことを前提として、国会は一日でも早く死刑廃止法案(仮称)を提出して成立させるべきである。今回の場合の法務大臣の発言で辞職させるよりはよほど市民のためになる。