清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

たまにはね 正しいことを 書く読売(読売より 子ども手当が 正しいよ(7))

 子ども手当(現在は廃止され児童手当になっている)のような、子育て支援に行ける現金給付について、読売新聞がたまに正しいことを書く話。

 

 読売新聞2023年1月31日社説「衆院予算委員会 重要政策の理解深める論戦に」をまずはご覧いただこう。

www.yomiuri.co.jp

 

 本エントリーで取り上げるのは、以下のくだりである。

 少子化対策を巡っては、児童手当の支給対象が焦点になっている。自民党の茂木幹事長は、所得制限の撤廃を提案している。

 岡田氏が所得制限を撤廃するかどうかただしたのに対し、首相は「政策を具体化する作業を進めている」と述べるにとどめた。

 少子化対策として現金給付を拡充することについては、効果を疑問視する声がある。子どもを産み、育てやすい社会を構築するために必要な施策は何か、与野党で議論を掘り下げねばならない。*1

 

 これは正しそうである。厚生労働省HP「図表1-1-7 出生数、合計特殊出生率の推移」

www.mhlw.go.jp

によると、2005年が合計特殊出生率の底で*2、それからは増加傾向だが、2019年に突如下がったということであるから、「現金給付を拡充することについては、効果を疑問視する声」*3は正しいとしてよい。

 

 しかし、それでも、(当時。日本の)民主党子ども手当の政策は正しく、現在は自由民主党茂木敏充幹事長の質問もおそらく正しい*4

 

 子ども手当であれ児童手当であれ、このことを考えるには、以前あった年少扶養控除*5の廃止とセットにして考えなければならない。年少扶養控除は所得控除であるから、高所得者が得をする*6。それに比べれば、一律にばらまく民主党子ども手当の方が、高所得者が得をすることがないので、相対的に妥当である。ところで、筆者は、以下白井聡のツイートを2つリンクを貼るが、著名人でもその程度も理解できず恥ずかしいツイートをしているということで、以下、2つのツイートを貼る。

 

 現在の日本は普通国債残高が凄まじい*7。加えて、所得再分配後に貧困が拡大していた時期があったとされる*8。これらの状況で、高所得者が得をする、以前の年少扶養控除のような所得控除を採用することは考えられず、以前の民主党子ども手当のような政策を採用せざるを得ないと思うのだが、いかがだろうか。加えて、以前の子ども手当のような非課税*9ではなく、課税対象とした方が、分配の機能もあり妥当かもしれない。

 

*1:読売新聞2023年1月31日社説「衆院予算委員会 重要政策の理解深める論戦に」

*2:コトバンク合計特殊出生率」のブリタニカ国際大百科事典 小項目辞典と、厚生労働省HPのデータと矛盾しない。

*3:衆院予算委員会 重要政策の理解深める論戦に」

*4:民主党子ども手当と、所得制限を撤廃する児童手当が同じものかを確認していないため、「おそらく正しい」と書いた。

*5:コトバンク「年少扶養控除」で確認されたし。

https://kotobank.jp/word/%E5%B9%B4%E5%B0%91%E6%89%B6%E9%A4%8A%E6%8E%A7%E9%99%A4-668960

*6:所得税の税率は、所得が高い部分が高くなるので、その部分が課税対象にならない方が得をするから。筆者の説明で納得しないのは結構だが、その場合でも、三木義一『日本の税金〔第3版〕』(岩波新書、2018)のp.51くらいは熟読して理解してほしい。

*7:財務省HP「これからの日本のために財政を考える」を参照。

https://www.mof.go.jp/zaisei/current-situation/situation-comparison.html

*8:少々古いが、西日本新聞「【つくられた貧困】格差広げる所得再分配 大沢真理・東京大教授」(2016年6月21日10時33分。

https://www.nishinippon.co.jp/item/n/253324/

)と、佼成新聞DIGITAL「「所得再分配」で、なぜさらに貧しくなるのか 庭野平和財団公開シンポジウム『"格差"を越えて』(1)」(2017年3月30日。

https://shimbun.kosei-shuppan.co.jp/tokusyu/5151/ )における、大沢真理のコメントを参照。もっとも、株式会社第一生命経済研究所 「所得格差に対する誤解~再分配後の所得格差はむしろ縮小。再分配よりも優先されるパイの拡大~」(永濱利廣。2021年9月21日。

https://www.dlri.co.jp/report/macro/162299.html のような分析もある。

*9:三木義一『日本の税金〔第3版〕』p.52参照。