清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

経済も 引用も知らぬ 林修

 「日曜日の初耳学」(毎日放送制作。TBS系列全国ネット)などでおなじみの林修が訴訟の準備をしているという。スポニチアネックス「林修氏、名誉毀損で訴訟準備へ SNSで拡散されている虚偽事実投稿に『対応策取る』 ことの発端は4年前」(2023年5月16日18時26分)をまずは一読されたし。

www.sponichi.co.jp

 

 スポニチアネックスの記事によると、「林氏は『ご報告』と題して自身のブログを更新し」とあるので、以下においては、Amebaブログ『林修オフィシャルブログ いつやるか?今でしょ日記』「ご報告」(2023年5月16日17時)を引用しつつ論じる。

ameblo.jp

 

詳細を述べていきましょう。

(略)こういう当たり前の話をそのまま述べても説得力がないので、わかりやすいデータも示そうと思いました。いろいろ探しているうちに、山本一郎氏の「年収890万~920万ないと社会のお荷物なのか」という記事を見つけ、ご本人にも許可をいただいて番組で引用しました。

 

 まぁ、これが不用意だったということだね。

 

以下、その引用をした発言の前後の文字起こしを掲載します。

 

「人が好きなことをやっていると、どうしても、提供されないサービスが世の中に出てくるんです。社会的なサービスにはどうしても、穴が開くんですよ。そうすると、恐ろしい世の中になりますよ。皆さん、思っている以上に、日本社会の恩恵を受けているんですよ。趣味だけで、これだけの道路網が発達するか、国防はどうなのか、警察はどうなのか。」

 

 知らんがな、としか言いようがない。神の見えざる手*1も知らんのかいな、としか言えない。そして現在は、社会的サービスに穴が開いても、原則として強制的に労働させることはできない(憲法第18条が根拠)。もちろん民間だけでうまく行かないから公共部門があるわけだが、それは好きなことをやることと両立可能の上、強制労働が原則不可なのは変わらない。

 

「それは我々が非常に社会的なコストがかかる暮らしに慣れちゃっているからですよ。

そういう社会的コストを考えると、これは、ある人の試算ですけれども、年収で890万から920万ないと足りないと、きつい言葉で、社会のお荷物だって書いている人もいるんですよ。 

(略)*2我々は、非常に社会的なコストがかかる暮らしを、当たり前のものとして享受することになってしまっているので、今のシステムを維持するのは大変なんですよ。満員電車で運ばれてブーブー言いながら働いて、それで給与明細見て、うわ、また引かれてる、なんでって、辛い思いしながらも頑張って働いている人たちが、この社会を支えている部分って結構大きいんですよ。」

 

 しかし、酷な言い方になるが、「満員電車で運ばれてブーブー言いながら働いて、それで給与明細見て、うわ、また引かれてる、なんでって、辛い思いしながらも頑張って働いている人たち」も、好きではないかもしれないが、選んだのである。

 

そしてその時の画像がこちら。

 

(引用元;毎日放送「林先生が驚く初耳学!」2019年1月6日放送)*3

 

 

文字起こしを読んでいただければ、私が「年収890万~920万ないと社会のお荷物」だ、などという断定を、一切していないことを明確にご理解いただけるでしょう。なお、この文字起こしの内容に間違いがない事は番組も確認済みです。この場面で僕が伝えたかったのは、「我々は社会的コストのかかる暮らしを送っている」ということだけです。「年収890万」云々は「社会的コスト」がかかることを示すための単なる修飾表現でしかありません。これが問題になるなら、「鬼のように恐ろしい」といったたぐいの修飾表現がすべて攻撃対象となり、何も言えない状況に陥ってしまいます。また、許可を取って引用させていただいた以上、原文の文言を変えることもできません。(略)引用した時点で賛成していることと同じだという意見も見かけましたが、そんなことを認めたら、多様性豊かな今の社会に存在する、様々な意見さえ紹介できなくなります。これが暴論であることも明らかです。

 

 これは論点ずらしだよ。「『鬼のように恐ろしい』といったたぐいの修飾表現」の話ではない*4。また、「引用した時点で賛成していることと同じだという意見も見かけましたが、そんなことを認めたら、多様性豊かな今の社会に存在する、様々な意見さえ紹介できなくなります。これが暴論であることも明らかです」も違う。引用を否定しないのであれば肯定的に評価していると解釈されても仕方がない。「『我々は社会的コストのかかる暮らしを送っている』」ことの説の補強に使っているからである。

 

最近では、もはや画像もなく完全に私の発言として、つまりは私を差別主義者として扱う発言まで横行したり、あるいは以下のような悪質な編集のなされた画像までネット上で拡散されるようになりました。

 

(引用元:Twitter「じぶん」@eA07i0okyfQRshU、「ハリー」@sbm2657)

 

 見ていただければ明らかなように、この画像では元々あった山本一郎氏の文章からの引用を示すテロップは削除されて、いかにも私自身の発言であるかのような「編集」がなされているのです。悪質で、攻撃的な切り抜きであることは、誰でもおわかりになるでしょう。これらの5枚の写真の順序も入れ替えてあり、捏造された虚偽事実を広めて、私の名誉を侵害していることは明らかです。

 

 肝心のこの部分が虚偽かどうかは、筆者では判断できない。「日本から出ていけばいい」だとか「文句を言う資格がない」というテロップが捏造かもわからない。「林先生が驚く初耳学!」2019年1月6日放送分で引用されていた山本一郎の発言は、PREDIDENT ONLINE「年収890万円未満は"社会のお荷物"なのか/近い将来破綻する"美しき日本社会"」(『PREDIDENT』2016年7月18日号からのようである。2023年5月16日アクセス)

president.jp

にあるが、「日本から出ていけばいい」だとか「文句を言う資格がない」だとかがなかったことを記しておく。しかし、「林先生が驚く初耳学!」2019年1月6日放送分でそういうテロップが出ていなかったかを確認できないので、現時点では林修の見解とせざるを得ない。

 

 最後に引用した画像の「日本から出ていけばいい」や「文句を言う資格がない」が捏造かがポイントになるだろうが、仮に捏造だとしても*5林修や番組が軽率であるという批判は免れないと思うが、いかがだろうか。

 

 テロップが捏造され、それ故に林の名誉が毀損されたとすればお気の毒で、一日も早い名誉回復を祈るが、林の見解や引用の扱いに問題があるので、それは非難やむなしだろう。

 

(2023年5月17日追記)

 毎日放送の番組が放送された後に、「MBSコラム」と題して放送された内容が書かれることがある。2019年1月ごろにどの番組がどの日に放送されたかは不明であるが、「林修が高学歴ニートと激突!君たちはなぜ働かないのか」(2019年1月17日18時30分。

https://www.mbs.jp/mbs-column/mimi/archive/2019/01/17/015575.shtml )というコラムがあり、その内容*6と、「ご報告」の

番組の準備に際して、私が心掛けたことはまず決して彼らを否定しないことです。つまり彼らが(主体的に)選択した生き方を、第三者である私が軽々しく否定することは絶対にしてはならない、という自戒をもってこの企画に臨みました。さらには、提案はしても絶対に命令はしない。もし私の話に共感して自発的に働くようになってくれれば、それは喜ばしいことですが、「ニートはダメだから、働け」といったような発言は何があってもしない、彼らが信念を持って「働かない」という選択をするならば、それも尊重されるべきだ―そう考えての収録でした

の部分が一致することを付記する。

*1:意味はコトバンクで確認。

https://kotobank.jp/word/%E7%A5%9E%E3%81%AE%E8%A6%8B%E3%81%88%E3%81%96%E3%82%8B%E6%89%8B-466561

*2:文字の色の都合上、改行した。

*3:筆者がMBS動画イズムの検索窓で「林修」で検索した結果、この番組のオリジナルは出てこなかった。

https://dizm.mbs.jp/search?q=%E6%9E%97%E4%BF%AE

*4:具体的な数値を引用しているから。

*5:そうなれば不法行為であることは言うまでもない。

*6:特に「親のスネはかじれるならかじれ」というタイトルが付せられている段落。