フィフィ*1が、『まだ本当のことを言わないの? 日本の9大タブー』(幻冬舎、2023)という本を出した。筆者は立ち読みしたが、K-POPについて国費がどうのこうのと書いてあるくだりを見て(またか。つまんね)と思ったので買うのをやめた。ところが、上記の本が、集英社オンラインに「一部抜粋、再構成」*2されて公開されているので、それを検討する(集英社オンライン、2023年5月14日「なぜ日本の女の子たちはSNSを戦略的に駆使した、メディアがゴリ押しする典型的な手口にハマってしまうのか?」。
ある日のこと、朝、ツイッターを見ていたら、トレンドワードに「韓国インテリア」なる文字を発見しました。
(中略)
伝統的な朝鮮の建築様式であるHANOK(韓屋)には素敵なデザインもあるけれど、韓国インテリアなんて初耳でした。私がトレンドについていけていないだけなのかな、韓国の家具やインテリアのメーカーが日本に進出したのかな、と思いきや、番組で紹介されたインテリアに使われていたのは、すべてIKEAの商品でした。
(中略)
番組では、このIKEAの家具や雑貨を使って「韓国インテリア」として紹介していたというわけです。それは韓国風インテリアでは……。正直、私は複雑な気持ちになりました。*3
上記引用部分は、おそらく事実と思われる。おそらく、2020年9月8日の、日本テレビ「ZIP」だろう。恣意的な検索になるが、筆者が「韓国インテリア IKEA ZIP」で検索したアドレスを挙げる。
実際に流行っているかどうか定かではない韓国インテリアを「人気!」として堂々と紹介し、さらには、同じ番組で「これでもか」と言わんばかりに「K-FOOD」を取り上げる。これをゴリ押しと言わずして何と言いましょう。*4
なぜ「韓国」だけ「実際に流行っているかどうか定かではない」と特記するのだろう? そもそも「流行っている」の基準は何か。フィフィの文章から根拠を発見できなかった。
テレビ局や広告代理店に、韓国側からお金が流れた結果だと思います。*5
これの根拠もない。普通に考えられるのは、金を流すのはIKEAのはずである。IKEAの家具を買ってもらえるわけだから*6。
日本人はブームに乗りやすい。また、欧米の文化よりも身近な文化を取り入れる傾向にある。そんな日本の若者にとって、韓国のファッションやメイクなどは、安くて、手軽で、真似しやすいはず。ということで、日本の若者をターゲットにして、SNSを使った韓流コンテンツのプロモーション活動が展開されるようになったのです。*7
この部分に、フィフィの韓国憎悪が出ているというのは穿ち過ぎか。欧米の文化が上で、韓国のそれは「安くて、手軽で」と解釈できるからである。欧米だろうが韓国だろうが、いいものはいいというのが普通の人である。
密かに訂正されている。何とフィフィはホットドッグのことを「チーズタッカルビ」*9と表現したのだ。この程度の人の文章を読むな!という非難は甘受するも、だから内容が馬鹿げていたのか、と頷いてしまった。以下、状況証拠のツイートを3つリンクを貼る。
記事の中に書かれている
— がたりさん(👈토시야) (@hikigatarist1) 2023年5月15日
チーズがのびるホットドッグ『チーズタッカルビ』
👆
これにツッコミ入れたのは、私だけではない筈だ。
しかし #フィフィ は相変わらず #日本会議 臭芬々だな
https://t.co/Mqk3IzYIjG
2ページ目『チーズが伸びるホットドッグ「チーズタッカルビ」』で読むのやめたわ
— 🌱🦖ミユオ🧀🍯🍷 (@miyuo214) 2023年5月15日
フィフィも編集者も冒頭自分で書いてるようにトレンドについていけてないだけ 終了です🥳https://t.co/HStjwHRlPX
集英社オンラインのフィフィ嫌韓記事のツイートが削除されてるの笑うんだけど。でも記事は残ってるのな。見に行ったら、例の「チーズタッカルビ」の件は微妙に修正されてた。 pic.twitter.com/618DyrSahd
— あずさ (@azusa830) 2023年5月15日
韓国ファッション、韓国コスメ、韓国スイーツなどのコンテンツは、どれもプチプライスで す。若者からすれば、安さは重要なポイント。気軽に取り入れて楽しみやすいということです。*10
これもフィフィの韓国憎悪が表れた文章である。理由は前述したので略する。
ゴリ押しのターゲットになった日本の女の子たちは、政治や歴史問題に興味もなければ、ニュースも見ない。いいのか悪いのか、韓国に対してまったく先入観がないわけで、日韓関係がどんな状況にあろうとも、「かわいい」「かっこいい」「イケてる」とゴリ押しされれば、すんなり受け入れてしまう。
2019年、「史上最悪か」と指摘されるくらい日韓関係はこじれにこじれていました。韓国国内では日本製品の不買運動なども起きて、反日、嫌日ムードが今までにないくらい高まっていました。そうした現状を知れば知るほど、韓国のことが嫌になるのは自然なこと。相手に敵対されているのに、こちらが相手を「好き」と言うほうが不思議です。
しかし、彼女たちは、現実を知らないのか、知っても理解できないのか、ずっと「韓国大好き!」のスタンスを貫いていました。完全にゴリ押しの罠に掛かってしまっています。韓国にとって、日本の若い女性は絶好のカモというわけなんですね。*11
日本の女の子に失礼だろう。また、ここも韓国憎悪と解釈できる。「韓国の文化に親しんでいる奴は馬鹿」と取れるからである。すなわち、「韓国が日本を敵視しているのにに韓国文化に親しんでいる」と解釈できるからである。「そうした現状を知れば知るほど、韓国のことが嫌になるのは自然なこと」*12も余計なお世話で、筆者であれば、「そうした現状を知れば知るほど」安倍晋三を内閣総理大臣にしてしまった日本を恥ずかしく思うのである*13。
金が欲しいから、売れそうな韓国憎悪に走る気持ちはわかる。というわけで、読者の方から厳しい非難を起こさないと、フィフィのような文章がはびこり、関東大震災時の朝鮮人虐殺のような悲劇が起きかねない。
*1:Twitterアカウントは、@FIFI_Egypt 。本エントリーは、タイトルは調子を整えるために敬称を付したが、当ブログの本文は敬称略が原則なので、本文では敬称を付さなかった。
*2:『なぜ日本の女の子たちはSNSを戦略的に駆使した、メディアがゴリ押しする典型的な手口にハマってしまうのか?』1ページ。
*3:同前、1ページ。なお、段落の初めの場合は、読者の読みやすさを考慮して、1字右から始めるように修正した。
*4:同前、2ページ。
*5:同前、2ページ。
*7:「なぜ日本の女の子たちはSNSを戦略的に駆使した、メディアがゴリ押しする典型的な手口にハマってしまうのか?」2ページ。
*8:同前、2ページ。
*9:タッカルビは、コトバンク「和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典」によると、「大きな鍋や鉄板で、鶏肉とキャベツ・たまねぎ・さつまいもなどの野菜、トックなどを炒め」(
https://kotobank.jp/word/%E3%82%BF%E3%83%83%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%83%93-1495408
)たものとのことで、食べるときに鍋や鉄板を用いないホットドックのわけがない。
*10:「なぜ日本の女の子たちはSNSを戦略的に駆使した、メディアがゴリ押しする典型的な手口にハマってしまうのか?」3ページ。
*11:同前、3ページ。
*12:同前、3ページ。