筆者は見ていないが、NHK大阪放送局が製作し、昨年12月に放送された「BS1スペシャル 河瀬直美が見つめた東京五輪」*1について、「BPO=放送倫理・番組向上機構の委員会が重大な放送倫理違反があったとする意見書を公表し」たという。NHK NEWS WEB「NHK BS1スペシャル BPOが意見書 “重大な放送倫理違反あった”」(2022年9月9日16時14分)による。
なお、原文は、BPOホームページ「放送倫理検証委員会 委員会決定第43号/NHK BS1 東京五輪に関するドキュメンタリー番組への意見」(2022年9月9日)をご一読ください。
NHKの記事には以下のような記述がある(なお、原文もざっと見たが、矛盾はない)。
放送前の試写でチェック機能が働かなかったとし、その要因として、制作スタッフのデモや社会運動に対する関心の薄さを挙げ「市民の活動に真摯な目線を向けるべきだった」などと指摘し、重大な放送倫理違反があったと結論づけました。
(中略)
また、西土彰一郎委員は「結果として五輪反対デモや、それ以外のデモ全般もおとしめるような内容を伝えてしまった。あえて声を出している人の尊厳を傷つけることになってしまったことの重大さをNHKはかみしめてもらいたい」と述べました。
日本に限るかはわからないが、とりあえず日本にいる人はデモが嫌いな人が多そうだなぁ、という気はする。
先述のNHK NEWS WEBの記事を見て思い出したのは、『東大発オンラインメディア UmeeT』に未だに掲載されている、田中マルクス・著「【ほこたて対決】『絶対に投票に行きたくない東大生』VS『絶対に若者を投票に行かせたいお笑い芸人、たかまつなな』【18歳選挙権】」である。そこには、以下のような記述がある。
「大学生とか若者ってかなり人数がいるから、十分に政治権力を持ちうるんですよ。政治は怖いとか思われがちですが、投票はテロやデモなんかよりずっと直接的に自分の思いを社会で実現できる手段です。投票に行かないと、絶対損しますよ!」(たかまつななさんのコメント)
たかまつななさんは、一時期物議をかもすコメントを連発したが、上記引用のコメントをしたとすれば、最悪である。犯罪であるテロと、憲法第21条で保障されている*2デモを並列している時点で(こいつ、馬鹿じゃねぇの?)と思われること必須である。ただ、たかまつさんも、おそらくデモが嫌いでこういうコメントになったのだろう*3。
それにしても、デモは、見ている側からすれば、知らなかったことへの興味が喚起され、投票行動にも影響を与えるのに、なぜ日本にいる人は嫌うのだろう。日本にいる人は、そんなに社会のことを知っているのだろうか。デモを嫌うというのは傲慢なように思うのは筆者だけだろうか。