清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

女子大学の 共学化論 あったっけ?

 朝、読売新聞の読書欄「本 よみうり堂」(2023年7月9日統合版12版28面)を読んだところ、『わたしは不法移民(略)』(カーラ・コルネホ・ヴィラヴィセン、慶応義塾大学出版会)の書評(「搾取・暴力 劣悪な暮らし」)をしていた、森本あんりの文章が目についた。それは以下のとおりである。

 

果たして日本の大学が不法移民を受け入れ、低所得者層の優遇や男女平等の促進を考えることがあるのだろうか。ジェンダーギャップ125*1位のこの国で、女子大学の共学化を論ずるなど、恥ずべき暴論である。国会議員の半数が女性になってから言え。

 

 森本によると、アメリカの大学は、「私立であると公立であるとを問わず、よい大学は常に社会的公平や公共善への奉仕を考える」*2ことの比較として日本の大学について書いている。

 

 筆者の管見の限り、「不法移民を受け入れ」はない。「低所得者の優遇」に該当するかわからないが、日本を代表すると衆目が認める東京大学には、「東京大学学部奨学金〈高校予約型〉」、「東京大学さつき会奨学金」(高校予約型(女子)、学部女子学生対象)などがある。

https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/students/welfare/h02_04.html それらには、「経済的な理由」を要件としたものがある。

 

 「男女平等の促進」については、例えば、医学部の女性差別が明らかになって、その是正で実現され得るということが考えられる。日時順に、東京新聞「女性だけに『ガラスの天井』…差別があった医学部入試 平等な社会に変革いまこそ<参院選・くらしの現在地③>」(2022年6月17日6時。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/183795

)、読売新聞オンライン「医学部入試の女性差別文科省汚職きっかけで発覚…昨年度の合格率は男性を逆転」(2022年7月20日23時26分。

https://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/kyoiku/news/20220720-OYT1T50269/

)。

 

 「女子大学の共学化を論ずるなど、恥ずべき暴論である」とのことだが、日本の場合、私学であればおそらく憲法問題にならないので、*3国公立のみ取り上げる。

 

 と書いたが、実は、現時点で、そういう議論を見つけられなかった。筆者の調査能力の無さへの非難は甘受するが、藁人形の可能性を否定できなかった。

 

 最後に「国会議員の半数が女性になってから言え」というのは、それだけ女性の社会進出が進んでから議論しろ、というのはわかるのだが、何で「言え」という強い表現なのかがわからない。

 

 森本は、書評において、日本の現状に怒っているが、筆者の調べた限りでは、森本の主張に根拠はなさそうであった。

 

*1:漢数字をアラビア数字に改めた。

*2:読売新聞2023年7月9日統合版12版28面「搾取・暴力 劣悪な暮らし」。

*3:憲法学の概説書で、私人間における間接効力説や、憲法判断回避の原則、を調べてください。加えて、筆者の私見だが、ノースカロライナ大学は公立大学なので(ウィキペディアノースカロライナ大学」参照。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%83%AD%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%8A%E5%A4%A7%E5%AD%A6

憲法問題なのはわかるが、ハーバード大学は私立大学なので(ウィキペディアハーバード大学」参照。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%89%E5%A4%A7%E5%AD%A6

)、なぜ憲法判断がなされたのかよく分からない。