清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

アメリカのせいで 容易ならない 対韓国と 拉致問題

 実は、アメリ*1の極東防衛プラン*2に組み込まれている日本は、韓国と決定的に対立することはできないし、北朝鮮拉致事件解決の交渉ができないであろうという話。

 

 筆者は先日、千々和泰明.戦後日本の安全保障:日米同盟、憲法9条からNSCまで.中央公論新社,2022,(中公新書2697).を読了した*3。第2章で主に展開した法律論は駄目だったが、主に第1章と第4章で展開されていた、日米安全保障条約が、米韓条約とリンクして、極東地域を守っているという趣旨の話は面白かった。

 

 つまり、現状では、日本に、韓国と決定的に対立するという選択はないと解釈できる状況なのである。日本と韓国が決定的に対立すれば、アメリカを中心とした極東防衛にほころびが出るからである。以前韓国はGSOMIAを破棄しようとしたが思いとどまったこと*4、日本が韓国を、いわゆるホワイト国に復帰させたこと*5も、戦後日本の安全保障(副題略).を読むとより理解できるだろう。

 

 ところで、2月22日は竹島の日。読売新聞は"竹島の日 国際法に基づく解決を促せ".という社説をアップしている。

www.yomiuri.co.jp

しかし、おそらく領土問題がない*6という立場の韓国がICJへの付託に同意するわけもない。徴用工判決について日立造船が供託したお金が原告に渡ったことも、アメリカを中心とした極東防衛の前では些細なことになろう*7

 

 これらを打破するにはいくつか想定でき、在韓米軍の必要性がなくなることだったり、日本が日米安全保障条約を終了させたりすることが考えられるが、昨今の情勢で在韓米軍の必要性がなくなるには程遠いし、今の日本に日米安全保障条約を終了させる度胸もないであろう*8

 

 付言すると、北朝鮮が日本人を拉致している問題の解決が難しいのも、筆者が思うに、アメリカを中心とした極東防衛ゆえと思うようになった。拉致問題解決のためなら日米安全保障条約を終了させてでも北朝鮮と交渉するのが残された道*9のような気がする。しかし、アメリカにとって望ましくない事態に踏み込む度胸、並びに日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約*10第3条に疑義を生じさせてでも、相対的に豊かな韓国と摩擦を起こして北朝鮮と国交正常化交渉をする度胸があるのだろうか。筆者は当然拉致被害者の日本帰国を支持する者であるが、すごく難しい課題だと認識せざるを得ない。

 

 と、このように、アメリカとの関係を悪くすることなしに、韓国に対して日本の言い分を通すことはできず、拉致問題の解決も難しいというのが、現状だと思われる。

 

*1:本エントリーでは、国名について、日本で一般に通用していると筆者が判断している略称を用いる。

*2:筆者の造語だが、本エントリーにおいては的外れではないと信じる。

*3:最近は、ハイブリッド型総合書店hontoにレビューの場を移している。当該本のレビューは

https://honto.jp/netstore/pd-book_31616976_093.html

から。

*4:当ブログにおける「GSOMIA」の検索結果は、

https://kiyotaka-since1974.hatenablog.com/search?q=GSOMIA

*5:足立優心."韓国を7月21日から輸出「ホワイト国」に再指定 4年ぶり復帰へ".朝日新聞デジタル.2023年6月27日.

https://www.asahi.com/articles/ASR6W61V4R6WUTFK006.html

,(参照2024-02-23).

*6:日本が尖閣諸島について採る立場と同じ。

*7:つまり、遺憾の意を示すくらいで終わり、決定的な対立にはならない。

*8:アメリカを敵に回してでも自国の利益を追求することに賛成する人は少数だろう。

*9:アメリカに頼っても解決していないのは現状の通りだから、別の方法を試すという意味。

*10:いわゆる日韓基本条約。外務省HPより(参照2024-02-23)。

https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/pdfs/A-S40-237.pdf