昨日、安倍晋三内閣総理大臣の所信表明演説があった。今日の読売新聞朝刊(東京本社版第12版10面(仙台では))に全文が載っているので、それに沿って検討したい(左が安倍さんのコメント。矢印の右は私のツッコミ。なお、章番号は私が勝手に付けた)。
1、はじめに
(1)「私は、特定の団体や個人のための政治を行うつもりは一切ありません」→自由民主党やその支持者のための政治をするのではありませんか?
(2)「(「美しい国」=)一つ目は、文化、伝統、自然、歴史を大切にする国であります。二つ目は、自由な社会を基本とし、規律を知る、凛とした国であります(あとの2つは省略)」→これは危険なところもある。文化、伝統、歴史、規律の押し付けにならなければよいが。
2、活力に満ちたオープンな社会
(1)「新たな日本が目指すべきは、努力した人が報われ、勝ち組と負け組が固定化せず、働き方、学び方、暮らし方が多様で複線化している社会、すなわちチャンスにあふれ、誰でも再チャレンジが可能な社会です」→ 崚慘呂靴真佑報われ」るわけではない(契約の問題)。◆崗,疏箸班蕕荏函廚蓮峺把蟆宗廚垢襦扮冓椴の新自由主義的政策を採る限りは)。再チャレンジより労働者の条件を平等にして欲しい(再チャレンジの結果が不安定な雇用ではね)。
(2)「新卒一括採用システムの見直し」→新卒が不利にならないように。
(3)「パート労働者への社会保険の適用拡大」「女性や高齢者、ニートやフリーターの積極的な雇用を促進」「個人補償に過度に依存しない融資を推進」→大いにやってほしい。
3、財政再建と行政改革の断行
(1)「国や地方の無駄や非効率」→本当にそうか要検討(切捨てになってはならない)。
(2)「国の行政機関の定員について、5年で約19,000人以上の純減を行うなど、公務員の総人件費を徹底して削減します。」→いびつな構成にならないように。あと、現在の公務員は解雇できないのか(しろとは言わない。辞めてもらうのは先生だけか)。
(3)「消費税については、「逃げず、逃げ込まず」」→悔しいが、近いうちの増税はやむを得ないだろう。
4、健全で安心できる社会の実現
(1)「社会保険庁は、解体的出直しを行います」→反対ではないが、職員のほとんどがノンキャリア(国供砲世ら言えるのか?
(2)「厚生年金と共済年金の一元化」→早くしてほしい。可能ならば、国民年金のみの人と平等にしてほしい。
(3)「地域社会との連携の強化や、取締りの徹底」→異端者の排除にならないように。
(4)「最近、エレベーターの事故や、ガス瞬間湯沸かし器による一酸化炭素中毒といった、規律の緩みを思わせる事故」→ミスは起こるでしょう。その後の対応の問題では?
5、教育再生
(1)「教育の目的は、志ある国民を育て、品格ある国家、社会をつくること」→「人格の完成」、「個人の価値をたつとび」、「自主的精神に満ちた」(以上、教育基本法第1条(教育の目的))が抜けているね(個人より国家だ!わかったか!)
(2)「吉田松陰は、わずか3年ほどの間に、若い長州藩士に志を持たせる教育を行い、有為な人材を多数輩出しました」→戦争に強い人材ね。所詮は武力革命(仕方ないが)。
(3)「教育基本法案の早期成立」→それより、教育基本法をきちんと読んでほしい(特に変える必要はない)。
(4)「すべての子どもに高い学力と規範意識を身につける機会を保障する」→高校全入と無償化をやるんですよね。
(5)「教員の質の向上に向けて」→本当に質が落ちているの?(40代以上が8割というのは胡散臭いな)
(6)「学校同士が切磋琢磨して、質の高い教育を提供」→「機会を保障する」なら、予算を増やすなど、他にすることがあるでしょう(つぶれたら機会が保障されないのでは)。
6、主張する外交への転換
(1)「(中国や韓国について)未来志向で、率直に話し合えるようにお互いに努めていくことが重要」→過去はいいんですか?ある程度加害国としての配慮は必要でしょう。
(2)「オーストラリアやインドなど、基本的な価値を共有する国々との首脳レベルでの戦略的な対話を展開します」→「中国や韓国よ、俺の言うことを聞かないと困るんだよ」という恫喝に聞こえる(もっとも、中国や韓国を重視すべきかはわからない)。
(3)「いかなる場合が憲法で禁止されている集団的自衛権の行使に該当するのか、(中略)よく研究してまいります。」→研究はよいが、本当に得か?(アメリカは戦争に踏み込みやすい(国際法違反かもしれないイラク戦争がその例)ので、戦争に巻き込まれやすい。)
(4)「わが国の常任理事国入りをめざし」→中国が拒否したら無理。このことから、中国の言い分も不本意ながら聞かなければならないことがあると思う。
7、むすび
「新しい時代にふさわしい憲法のあり方についての議論」→それより、憲法学の素直な理解が大事(たとえば、憲法は国家権力を制限する規範であるとか)。