清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

可能かな 最低投票率の 設定は

4月28日の読売新聞朝刊2頁(仙台では)によると、読売国際会議・日本国憲法施行60周年記念特別フォーラムにおいて、最低投票率制度の導入が議論され、識者が否定的な見解を示していることが載っていた。

たしかに、憲法第96条第1項は、「(憲法改正の)承認には、(中略)その過半数の賛成を必要とする。」が、「過半数」とは、学説では、有効投票総数の過半数とする説が有力である。そうでないと、たとえば、投票総数の過半数だとすると、無効票も反対に数えられ、また、有権者過半数とすると、投票に行かなかったものも反対とされるので、合理的でないからだとされる(芦部信喜憲法』新版補訂版(岩波書店)、佐藤幸治憲法』第3版(青林書院)参照)。その点からすると、識者の見解にも一理あろう。

しかし、改正発議の場合だけ要件を厳格にしているのに(両議院の議事は原則出席議員の過半数で決するのに(憲法第56条第2項)、憲法改正発議の場合は各議院の総議員の3分の2以上の賛成が必要(憲法第96条第1項))、国民の承認だけ要件を緩和するのはおかしい。また、投票に行かない者、ならびに無効票を投じる者の意思を改正反対とカウントしても不合理とは思われない。

そのことから考えると、最低投票率制度は、有権者過半数というむちゃくちゃ厳格な要件を求めるわけでもない、少数の承認だけで憲法改正ができるという不合理を防ぎうる、以上の理由により、有力な手段だと思う。なお、憲法に書かれていないという反論が想定されるが、要件を加えるのを禁止する趣旨とは読み取れないので、有効な反論ではないのではないか。