清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

橋本五郎の 改憲論は ダメだった

朝、読売新聞(東京本社版)を読んでいると、「五郎ワールド 改憲論議の今昔を思う」(以下①。読売新聞東京本社版2013年5月11日朝刊12版13面)が目についたので、検討する。

 
特に目についたのは、以下のくだり。以下、引用する。
 
「改正条項を変えることに反対する人は、米国では両院の3分の2以上の賛成と4分の3以上の州議会の承認がなければ修正できないと強調する。フランスでは両院の過半数の賛成と国民投票で改正が可能であることを決して言わない。各国にはそれぞれの歴史と事情があるのだろう。日本としてどうすべきかを考えればいいのである」
 
ああ、なるほど、橋本五郎さん、えらい! と思った人は、アマいね。なぜかは以下に記す。
 
そもそも「米国では」(①)以下のことを言う人は、日本の改正手続き(憲法第96条によると、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で発議し、国民投票過半数(以前の憲法学の通説も日本国憲法の改正手続に関する法律(http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxselect.cgi?IDX_OPT=1&H_NAME=%93%fa%96%7b%8d%91%8c%9b%96%40%82%cc%89%fc%90%b3%8e%e8%91%b1%82%c9%8a%d6%82%b7%82%e9%96%40%97%a5&H_NAME_YOMI=%82%a0&H_NO_GENGO=H&H_NO_YEAR=&H_NO_TYPE=2&H_NO_NO=&H_FILE_NAME=H19HO051&H_RYAKU=1&H_CTG=1&H_YOMI_GUN=1&H_CTG_GUN=1
)も、有効投票の過半数)の承認を要する)は厳しすぎるという見解に反論しているだけなのである。②高橋洋一ニュースの深層 始球式でも背番号「96」で登場!安倍首相が提案する「憲法96条」を改定しても日本の憲法改定難易度は世界的にみて低くない」(2013年5月6日。http://gendai.ismedia.jp/articles/-/35686
)みたいに、「国民投票の改正難易度は高い」という見解はあるが、「加重された表決数(再議決は0.1とカウント)、国民投票はやる場合を1、やらない場合をゼロ」の妥当性が判断できないので(わからないので)、高橋説には従わず、一方、国民投票における最低投票率の規定もないのだから(韓国はある)、「米国では」(①)以下の内容は、日本国憲法の改正要件は厳しすぎるという反論になっていると思う。
 
その米国の改憲手続き、③togetter「法哲学大屋雄裕先生による「日本国憲法の改正要件は厳しいはウソ、はウソ」」(saraquel2。本エントリーの内容は、2013年5月11日現在とする。http://togetter.com/li/495598
)によると、「アメリカについてはすでに述べたが、上下両院の出席者の2/3であって、日本のような定数の2/3ではない」、「各州で順次議決していって一定数を超えるまでやればいいので、一発勝負の国民投票よりは容易な手段だ」(以上は、名古屋大学大学院法学研究科助教授、大屋雄裕さんのツイートの内容。https://twitter.com/takehiroohya/status/325524132148166658
)という。後者なら「容易」と言えなくもないが(一発勝負なら、賛成が得られなければ終わりだから。ただ、断固改正反対の州が4分の1以上あったらどうするのだろう?)、前者はよくわからない。「「これは、出席している議員の2/3を―投票が行われる際に定足数を満たしていることを前提として―意味しており、選出され・議会の両院に勤めている全議員の投票の2/3である必要はない。」」、「そのMissouri Pacificは大統領拒否権に関する判例で、再可決権が可決したのと同じ《組織としての上院・下院》に与えられている以上、可決するときと同じ条件(定足数以上)と解すべきとの論旨。これは第5条も同様との言及もある」(以上は、togetterより)とのことだが、結局は、日本であれアメリカであれ、議会のどれくらいの議員が出席するかを調べないと、容易か否かの議論は難しい(議員さんってそんなに出席してないの?)。だから、高橋さんの記事(②)であれ、togetter(③)であれ、日本国憲法の改正手続きが厳しいということについての補強にはなっていないと判断する。
 
①に戻ると、「各国にはそれぞれの歴史と事情があるのだろう。日本としてどうすべきかを考えればいいのである」だって。それなら日本は、両院とも議席数は得票率と比例しないのだから(

 

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をご一読。つまり、各議院の総議員の過半数だから有権者の支持が半数というわけではない。これが許されるなら、極論すれば、1人の発議でも変わらない(どちらも有権者の半数の支持があるとはいえないから))、安易に各議院の総議員の過半数にしていいとはならない、で、終了。

 
なお、①についてもう1つツッコミを入れると、「改正の規定も緩和し、衆参両院の3分の2以上の賛成があれば改正が可能で、単純過半数の賛成の場合に限って国民投票に付す」ともあるが、これは憲法改正について限界説を採ると(通説らしい)不可能な改正となり(一定の要件のもとで国民投票の要件を外すから)、新憲法の樹立であり、「革命に等しい」(①)であろう。