清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

国家がね 首絞めて殺す それが死刑(2)

「国家がね 首絞めて殺す それが死刑」(http://blogs.yahoo.co.jp/kiyotaka_since1974/51960489.html
と同じ事件も扱っていますので、そちらもご覧ください。

5月14日22時からのNHK-BSプレミアムハイビジョン特集「死刑~被害者遺族葛藤の日々」を観た。

あらすじを書くと、少年数名に因縁をつけられて殺された被害者(もちろん、被害者に女性トラブルはなかった。マスメディアが裏を取らなかったのだろう)の両親。弟を勤め先の社長に金銭目当てに殺された兄。それぞれの犯罪被害者遺族は死刑を求めて闘っていた。しかし、被告人から手紙をもらったり、被告人と面会したりするうちに、葛藤を覚える。そんな被害者遺族の姿から、犯罪被害者(遺族含む)にとって死刑とは何か? を考えさせようとする作品である。

もちろん、被害者遺族が葛藤する様は伝わった。しかし、致命的な欠点があるので、作品としてはダメであった。以下、致命的な欠点を指摘する。

第1に、「死刑~被害者遺族葛藤の日々」に出たような犯罪被害者遺族は、世界各地にいるに決まっている。しかし、世界の主流は、死刑廃止なのは、常識である(アムネスティ・インターナショナル日本 死刑廃止ネットワークセンター「死刑廃止info」(http://homepage2.nifty.com/shihai/)
から、「死刑存廃国リスト」(http://homepage2.nifty.com/shihai/shiryou/death_penalty/abolition&retentions.html
参照。分け方に疑問はあるものの、廃止国が多数とみてよい)。つまり、遺族の葛藤や感情にかかわらず、なぜ廃止国が主流なのかという、問題意識が全く出ていなかった。もし「死刑~被害者遺族葛藤の日々」を世界に出したら、遺族に重大な苦痛を感じさせる(作品がバカにされて)だけだろう。

第2に、「児童」とは、児童の権利に関する条約第1条によると、「十八歳未満のすべての者」を言うが、その児童には死刑は科せられない(児童の権利に関する条約第37条(a))。また、児童は「特別の保護及び援助を受ける権利」(世界人権宣言第25条第2項参照)がある。つまり、児童は保護されるべき存在なのである。一方、日本の「少年」は「二十歳に満たない者」(少年法第2条第1項)である。その少年は、民法上成年ではないので、法律行為もできない(民法第4条、第5条)。また、選挙権もない(公職選挙法第9条第1項参照)。このような保護されるべきはずの存在、また、投票で反対することもできない「少年」に死刑を科すことへの疑問が全く感じられなかった。自分たちの表現の自由だけ声高に叫び、他者の権利や法の精神を全く顧みない、ダメな点であった。

この2点により、「死刑~被害者遺族葛藤の日々」は、被害者遺族に甚大な苦痛を生じさせる可能性もある、ダメ作品と判断してよい。

あと「死刑~被害者遺族葛藤の日々」で感じたことを何点か。

,海譴鮓たからと言って、弁護士は、安易に手紙を出すことを勧めてはいけない。加害者が心の奥底から手紙を出したいと思った場合に限り手伝うようにしないと、被害者遺族感情を逆なでにしかねない。

⊂年に殺された被害者の遺族は、被告人の弁護人に利用されていると憤っているシーンがある。利用はもちろんいけない(善意の過ちだろうが。弁護士の活動は難しいもののようだ)。しかし、被告人の弁護人には取材した形跡がないので、遺族感情としてはその通りでも、実際にはどうなのかは保留せざるを得ない。

「死刑~被害者遺族葛藤の日々」に出ていた、「弟を勤め先の社長に金銭目当てに殺された兄」は、有名な人で、死刑廃止の集いに招かれることがあるらしい。ただ、私が番組を観た限りでは、決して廃止論者ではなく、修復的司法(定義は詰めていないが)の実践者のように感じた。ネットで批判されているのを見た記憶があるが、自分が気に入らないというだけで犯罪被害者遺族を批判するのはいかがなものか。