この件について、『月刊バスケットボール』(会社名略。以下同じ)2012年3月号175ページに、飯田康二・編集長のコラム「新リーグへの参加を躊躇するbjリーグの真意とは」が興味深かった(飯田さんのコラムは175ページだけなので、以下ページ数は省略)。
これについて、飯田編集長は「自身は、チームのあり方はチームが決めればいい」と見解を披露している。私もそう思っていた。
さらには、「企業チームが弱体化」とも書いているが、JBLを見ていると、このようなことは起こっていない。東芝ブレイブサンダースの3勝25敗(2012年2月9日現在。なお、3勝は、いずれもプロチームからあげている)が外れ値で、プロチーム(興行権を持っている、リンク栃木ブレックス、レバンガ北海道、三菱電機ダイヤモンド・ドルフィンズのこと)が苦戦している(JBL―日本バスケットボールリーグ―(http://www.jbl.or.jp/ ) 参照)。それからすると、bjリーグの専務取締役の主張に一理あると感じた。つまり、プロと企業チーム(興行権を持っていないとされる(推測含む))が一緒にやるのは難しい、と現在では思う。
2.プロチームのあり方に参考になる記事等はないかな、と思ったら、『週刊エコノミスト』 2012年2月14日号 83ページと84ページ(ゆえにページ数を示す)、「“財政フェアプレー導入”で赤字の大クラブは失格も」と題した、『footballista』(海外サッカー週刊誌)の、木村浩嗣・編集長が書いた記事を見つけた。
それによると、「『ファイナンシャル・フェアプレー』(FFP)」(p83)という、「弱肉強食のサッカー界に財政規律を設け、公正な競争を行わせようという」(p83)制度を、UFEA(欧州サッカー連盟)会長の、ミッシェル・プラティニさんの体制下で導入しようとしている、という。
以前の「カップ戦の出場ライセンス」(p84)は、「赤字や負債は問題にしてこなかった。『マネーフローがある限りは干渉せず』という考え」(p84) だったという。このような制度では、「オーナーや会長のポケットマネーや銀行の巨額融資で赤字を補填しつつスター選手を買いあさる」(p84) ことが可能だったらしい。
それを、2015-2016シーズンに、2013年から2015年までの3年通算で、3,000万ユーロ以内の採算割れまでライセンスを認める(p84要約)ようにするのだという。
1.でbjリーグの専務取締役の阿部さんが述べたような、「『原則として、試合という興業による収入が、そのチームの主たる収入となること』」(『月刊バスケットボール』 2012年3月号 p175)が、ヨーロッパのサッカーリーグに当てはまるかはわからないが(「“財政フェアプレー導入”で赤字の大クラブは失格も」(『週刊エコノミスト』 2012年2月14日号 p83)によると、サッカービジネスの収入源は、①テレビ放映権、②広告・スポンサー料、③入場料(以上清高要約)だという)、bjリーグとFFPの方向性、ならびにJBLの企業チームとヨーロッパサッカーのあり方が、似ているように感じるのは気のせいか。
最後に蛇足を加えると、「“財政フェアプレー導入”で赤字の大クラブは失格も」では、「フェアプレー精神の回復はいいが、クラブの自助努力を求めるFFP制度は、クラブの『救済』ではなく『排除』という形によって、赤字クラブの経営を立ち行かなくさせる『ダメ押し』になりかねない」 (p84) と、批判的に検討されているのが良かった。