清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

読売の 社説が言ってる バカなこと

最近、上丸(じょうまる)洋一さんの『「諸君!」「正論」の研究』(岩波書店、2011)を読んだ。それによると、文芸春秋の元社長である田中健五さんが、1992年10月9日付の朝日新聞で以下のように語ったという。すなわち、「『朝日にからむのは、朝日が“第四権力”の右代表だからなんだ。部数は読売に抜かれても、相変わらず朝日が“ザ・ペーパー”であることには変わりない」(p343下段2行目から4行目)と。筆者の上丸さんは「朝日新聞編集委員」(『「諸君!」「正論」の研究』の著者プロフィール参照)。なんて傲慢なんだ、と思ったものだが、読売新聞の社説を読んだ限りでは、相変わらず朝日新聞が日本の新聞の代表だと感じざるを得なかった。そう感じた社説を2本紹介する。

1.「宜野湾市長選 「普天間」を動かす足掛かりに(2月14日付・読売社説)」(http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20120213-OYT1T01085.htm )

「「反基地」色の強い伊波氏では市政は変わらないと考える市民に対し、「現実路線」を通じて浸透したのが勝因」? 宜野湾から基地を移すのだから、たいして違いはないだろう。他の論点だったり、いろいろあるんじゃないか? 

「地方選とはいえ、政府が推進する辺野古移設に、より強く反対する候補を支援したのは政権与党議員として無責任」って、それこそその政党の自由だし、そもそもは自主投票だったのだから。

なお、「佐喜真氏は、市の中心部にある普天間飛行場について「県外移設」を主張した」んだって。読売社説の支離滅裂さ、ならびに、当ブログの見解の補強になっている。

2.「選挙制度改革 連用制は一部導入でも禁物だ(2月16日付・読売社説)」(http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20120215-OYT1T01133.htm )

「小党分立が避けられず、連立政権が常態化するなど、問題が少なくない」って、それって問題なのか? 妥協しなければ政権運営できないなら、それなりに多様な意見を反映しうるんじゃないの? もしこれらが問題ならば、世界中で比例代表制が捨てられるはずだが、小選挙区制のほうが世界的にマイナーなのは、常識なんだけど(とりあえず、三輪和宏(著者情報は各自の調査を乞う)「 諸 外 国 の 下 院 の 選 挙 制 度」(https://docs.google.com/viewer?url=http%3A%2F%2Fwww.ndl.go.jp%2Fjp%2Fdata%2Fpublication%2Frefer%2F200612_671%2F067106.pdf) 参照)。また、小選挙区制(多数決型)より、比例代表制(コンセンサス型)が妥当な傾向がある、という研究もあるし(『民主主義対民主主義 多数決型とコンセンサス型の36ヶ国比較研究』(アレンド レイプハルト、勁草書房、2005)をご一読)。

もっとも、「連用制は、小選挙区で多くの議席を獲得した政党ほど、比例選では議席を獲得できなくする仕組み」というのはおかしいと思うので、連用制には反対するが。

ただ、「有権者の意向に沿わない形で議席が配分されること」がおかしいならば、2010年参議院議員通常選挙の結果も非難しなければならないが、読売新聞はしていない(とりあえずは、『村野瀬玲奈の秘書課広報室』「2010年参院選結果についての各紙社説を読み比べてみた。」(http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-1891.html) 参照(縮刷版での調査も必要)。2010年参議院議員通常選挙は、全国的には、選挙区も比例も、民主党が第1党だった。「得票数 No.1は 民主党」(http://blogs.yahoo.co.jp/kiyotaka_since1974/50864487.html) 参照)。これはアンフェアだろう。

というわけで、読売新聞は、現時点でも、発行部数はナンバーワンだが、「“ザ・ペーパー”」とはとても言えない、お粗末な新聞、と見てよいようだ。