清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

研究者に 全然勝てぬ 読売が

かなり古い話になるが、『週刊東洋経済』2013年4月27日・5月4日合併号p138、p139、砂原庸介「政治は嫌いと言う前に」が興味深く、東洋経済オンラインにもアップされているので(「選挙の不平等は「一票の格差」だけではない」(2013年5月27日。http://toyokeizai.net/articles/-/14058

)、紹介する。
 
砂原庸介大阪市立大学大学院法学研究科 准教授(Read&Researchmap 参照。http://researchmap.jp/sunaharay/
)によると、「相対的に人口の少ない地域が過剰に代表されることで、政府の採用する政策が人口の少ない地域に偏った利益をもたらすというものだ。/典型的なのは都市部の代表が過少で、農村部の代表が過剰なことから、農村部への利益誘導が進められるという主張である。このような傾向は実証的に認められているところもある」という。
 
さらに、中選挙区制から小選挙区比例代表並立制)になったことで、農村部の過剰代表が解消されたことが示されている。
 
一方、「根本俊男氏と堀田敬介氏の一連の研究では、/①県境を維持しつつ②一部の例外を除いて市の分割を禁止③飛び地を作らない という条件のもと、「一票の格差」が2倍を下回るよう現在の300議席を各選挙区に配分することは困難」なのだという。
 
そして、「国会議員は本来、自治体を超え、「国民」が選ぶものだ。それが、自治体の区域に縛られる必然性はない。実際、小選挙区制を採る多くの国が、自治体の区域にこだわらず、選挙区を設定している」として、現在議論されている選挙制度改革を否定的に評価し、自治体の区域にこだわらない改革を評価している。
 
研究を読み込んだわけではないので判断は保留するが、視点は大変結構である。
 
一方、読売新聞東京本社版2013年6月1日朝刊13版1面、4面のレベルの低いこと。「『人口比例』の絶対視は誤りだ」(1面)? それじゃ、都市部が損をするのは構わないのか? 「『地方の声』を国政に反映する機能を損ねてよいはずがなかろう」(4面)? 逆に地方の声が過剰に反映されていいわけないだろう。日本の能力の過小視も気になる。「「変な形の選挙区」」(1面。大石眞・京都大学教授のコメント)って、できないの? 悪いの?
 
というわけで、視点は、砂原准教授の方が明らかによく、それすら参照しないで人口比例を軽視した読売新聞の記事の惨敗となった。