清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

韓国を 非難する人 幼稚だな

明日は新聞休刊日。したがって、月曜日に発売される雑誌の広告が新聞に出るが、今日の読売新聞朝刊27面の『週刊ポスト』の見出しってどうなんだろう?と思った。

 
「幼稚な韓国とどう付き合えというのか?」だとか「これは『ヘイト』ではなく『正論』である」だとか。
 
筆者の経験上、「幼稚」と評価する人の大半が幼稚で、「『ヘイト』ではなく『正論』である」の大半がヘイトである、と、武田砂鉄的にツッコんでみる(武田砂鉄さんの本をAmazonで検索した結果は、https://www.amazon.co.jp/s/ref=nb_sb_noss_1?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&url=search-alias%3Dstripbooks&field-keywords=%E6%AD%A6%E7%94%B0%E7%A0%82%E9%89%84
。筆者は『芸能人寛容論』についてレビューしている。https://www.amazon.co.jp/gp/customer-reviews/R36UQRAKG4NH28/ref=cm_cr_dp_d_rvw_ttl?ie=UTF8&ASIN=4787273914
)。
 
見出しをさらに見てみると、「『ビジネスできない相手。世界はそう見た』(S・ボロウィック)」とあるが、たかが日韓関係でそう思う人っているのかなぁ?和解したアップルとサムスンの話なら分かるが。
 
ところで、『週刊ポスト』の見出しや、『弁護士ドットコムNEWS』「徴用工判決『日本政府の対応はプロパガンダ』『請求権協定の白紙撤回を』弁護士たちの様々な声」(2018年11月09日 09時54分。https://www.bengo4.com/internet/n_8831/
)において弁護士の多数説である「評価しないし、理解もしない→26票」は「幼稚」なんだろうか?
 
筆者は、「幼稚」認定して問題ないと思っている。
 
まず『弁護士ドットコムニュース』の記事にある「日本の最高裁判所は、日本と中国の間の賠償関係等について外交保護権は放棄されたが 、被害者個人の賠償請求権については実体法上消滅していないという立場だったかと思う。基本的に、これは日本と韓国の間にも妥当すると理解している」が、「日本と中国の間~立場だったかと思う」が正しいからだ。『歴史問題ハンドブック』(岩波現代全書)の外村大論文を一読願いたいが、その立場と一致する。
 
次に同じく『弁護士ドットコムニュース』の記事にある「三権分立における裁判所の地位からすれば、大法院決定についての評価を理由に直ちに韓国政府を非難することはできないはずである」の結論も正しい。
 
ただ、『弁護士ドットコムニュース』に気になる記述が。「国際法を一応学んできた者として、国際法上あり得ない判決という政府見解はご都合主義にもとづくプロパガンダだと考える」のところ。筆者も『国際法(第5版)』(有斐閣Sシリーズ)しか読んでいないので書いてはいけないのだろうが、筆者も「国際法を一応学んできた者」の端くれ。そこで、国際法的にどうかを、筆者の私見として(だから、学問的正確性は保証しない)以下書いてみる。
 
国際法(第5版)』p18によると、「国際法のレベルでは、国は国際法上の義務を免れるために国内法を理由とはできないという考えが、国家実行上も学説上も確立して」おり、「国際法のレベルでは国際法は国内法に優越する」。しかし、続けて「実際には、国際法はその義務を国内においてどのように実施するかについて国に広範な裁量の余地を認めている」とのこと。以上に引用したことは、いわゆる徴用工判決と直接関係ない部分もあるが、要は国内法を国際法に矛盾するように解釈できないということだろう。
 
一方、『国際法(第5版)』p19によると、「国内法のレベルで国際法にどのような効力を与えるかは、各国の国内法特に憲法が定める」という。そこでp21の表1-1「各国の現行憲法における条約の位置」を見ると、日本は「②条約に、憲法より下位であるが法律より上位の効力を認めるもの」であるのに対して、韓国やアメリカは「③条約に、法律と同等の効力を認めるもの」とされる。そして、このタイプの場合、「国際法上の義務がそれと矛盾する国内法の存在のために履行できない場合がある(略)このような国においても、多くの場合国内裁判所は様々な解釈技術を用いて国際法上の義務と矛盾しないように国内法を解釈してきたが、それにもかかわらず国内法上の理由で国際法上の義務を履行できない場合には、その国は相手国に対して国家責任を負う」のだという。
 
あくまで推測だが、今回の場合、日本と韓国の条約と法律の関係の違いが背景にあるというのはうがちすぎだろうか?
 
そして、韓国司法はあくまで「国際法上の義務と矛盾しないように国内法を解釈してきた」というか、日韓請求権協定と矛盾しないという判断をしたのだと思われる。
 
以上の記述を頭に入れて、山本晴太さん(福岡県弁護士会所属 弁護士)が制作・管理している『法律事務所の資料棚アーカイブ』にある「2018.10.30 新日鉄住金事件大法院判決(仮訳) 」(http://justice.skr.jp/koreajudgements/12-5.pdf
)を見ると、「原告らが主張する被告に対する損害賠償請求権は、請求権協定の適用対象に含まれるとはいえない」(11ページ)としているので、矛盾がないと言えなくはない。
 
ただ、判決文においては、個人請求権については「被告はこの部分の上告理由において、強制動員慰謝料請求権が請求権協定の適用対象に含まれるという前提の下に、請求権協定で放棄された権利は国家の外交的保護権に限定されるものではなく、個人請求権自体が放棄(消滅)されたのだとの趣旨の主張もしているが、この部分は差戻し後の原審の仮定的判断に関するものであって、さらに検討するまでもなく受け入れることができない」と、筆者としてはラフに見える判断しかしていないのは残念であるが。
 
それらとは別の話になるが、判決文の6ページに日韓請求権協定が引用されている。筆者が条文のみを素直に読む限りは、判決は無茶苦茶だと思った。しかし、判決文の11ページにある「条約は前文・付属書を含む条約文の文脈および条約の対象と目的に照らして、その条約の文言に付与される通常の意味に従って誠実に解釈されなければならない。ここにおいて文脈とは条約文(前文および付属書を含む)の他に、条約の締結と関連して当事国間に成立したその条約に関する合意などを含み、条約の文言の意味が曖昧模糊としている場合などには条約の交渉記録および締結時の事情などを補充的に考慮してその意味を明らかにしなければならない」が正しいならば(筆者の研究ではわからなかった)、今回の韓国大法院の判決は決してあり得ないとは言えないな、と思った。したがって、『弁護士ドットコムニュース』にある選択肢を引用すれば、筆者の立場は「評価しないが、理解できる」に一番近い。すなわち、筆者に評価できる能力はないが、理解はできる、ということである。