清高の ニュースの感想 令和版

題名川柳・内容超一流!

もしかして NHKの 自民推し?

NHK NEWS WEBから2本。

 

①「自民 茂木幹事長 “野党の政策は危機感なく非現実的”と批判」(2022年5月14日14時6分)

www3.nhk.or.jp

 

②「自民 茂木幹事長 “『ゼロコロナ』は中国と北朝鮮と立民だけ”」(2022年5月14日14時18分)

www3.nhk.or.jp

 

 主張の是非は問わない。自由民主党の幹事長の発言だから載せたのだろうが、問題発言ではないし、それほどニュースバリューがあるようには思えなかった。

 

 ①、②ともに「政策」とあるけど、実際に政策を実行するのはほぼ自由民主党なわけで(それが政権与党ということ)、なぜ実行もされていない立憲民主党の政策の批判を載せるのだろうか。

 

 これらの記事を見て筆者が感じたことは、NHKが公共放送の使命を果たさず、与党様のNHKになっているのではないかということである。野党を叩けるなら嬉々として載せるのではなく、現実の政治がどうなっているかをもっと勉強した方がいい。

アマゾンレビュー また荒らされた みたいだな

 まずは物騒な記事を。東京スポーツ堀江貴文氏 西村康稔前コロナ担当相の著書を酷評「発売中止に追い込みたい」」(2022年5月12日12時26分)

www.tokyo-sports.co.jp

 

記事の裏については、堀江貴文さん(@takapon_jp)が、2022年5月12日11時15分にしたツイートのリンクを貼っておく。

 

 どう表現しようが自由とはいえ、「発売中止」*1は穏やかじゃないな。

 

 それと関係あるかは不明だが*2西村康稔さんの著作『コロナとの死闘』のアマゾンレビュー(下記リンクからアクセス)が大変なことになっている。

www.amazon.co.jp

 

 筆者調べで、星1つのレビューが199本、評価のみが9個*3投稿されている。

 

 これを見て思い出したのは、キム・テヒさんが出演したCMを流したロート製薬と、ドラマのスポンサーだった花王の製品に大量の星1つのレビューがついた件である。なお、アマゾンレビューと関係ないが、ロート製薬の件では逮捕者が出ていることにつき、ウィキペディアロート製薬強要事件」をご一読。

ja.wikipedia.org

 

 購買者でなくても投稿できるという自由さで多角的な評価を見ることが可能なアマゾンレビューだが、ロート製薬花王の製品に対する大量の星1つレビューのようなことがまた起こってしまっている。西村さんの本は2022年5月12日発売だが*4、ブログアップ時点の2022年5月13日までにそんなに読んだ人がいるのだろうかという疑問があるので、おそらく今回の件も、何らかの憤りを感じた人のレビューが殺到したか、組織的にやったか、といったことだろうと推測する。

 

 このようなことが起こると、アマゾンレビューの評価がまた悪くなるので、アマゾンも頭が痛いことだろう。

*1:堀江貴文さんの2022年5月12日11時15分のツイートより

*2:なお、Twitterをざっと見た限りでは、堀江さんは一切煽動していないことをお断りしておきます。

*3:このブログアップ時点で。なお、アップ後増えている可能性が高い。なお、星5つのレビュー9本、星3つは1本。

*4:版元の幻冬舎によると、2022年5月11日。幻冬舎HP参照。

https://www.gentosha.co.jp/book/b14321.html

「批判するな 対案を出せ」 なぜ悪い?

 筆者の印象論だが、最近は、「批判するな。対案を出せ」というのがブームのように思う。しかし、これはダメらしい。

 

 最近読んだ、戸田山和久『教養の書』(筑摩書房、2020)のpp.342-343に、アンチシュロギスモスとエンスタシスの違いが書かれており、それがわかりやすかった。すなわち、「アンチシュロギスモスとは、相手の主張と反対の主張を論証すること」*1で、「エンスタシスは、相手の論にツッコミを入れて、それが成り立たないことを示すタイプの反論だ」*2とある。

 

 戸田山さんによると、「アンチシュロギスモスは、相手の主張と対立するだけで、相手の主張を崩すことができない」*3という。一方、エンスタシスは、「アンチシュロギスモスと異なり、これが成功すれば相手に主張を取り下げさせることができる。あるいは相手の論証を促すことができる。これを互いに繰り返すことによって、もしかしたら正解に近づけるかもしれない」*4

 

 筆者が引用したところを筆者が最初に読んだとき、「批判するな。対案を出せ」がなぜ悪いかわかった。対案を出しても相手の主張を崩すことができない一方、批判が成功すれば相手の主張がわかる可能性が高まるからである。もちろん議会では議席数の問題がある*5のでそれほどうまく行かなくても、法律案を出す側*6の問題点がメディアを通じて伝わる可能性がありそうだから、対案より批判の方がよさそうである。

 

 というわけで、「批判するな。対案を出せ」という声が挙がった時は、無視した方がよさそうだ。

*1:『教養の書』p.342。オリジナルはアリストテレス『弁論術』とあるが、筆者は未確認。

*2:『教養の書』p.343。

*3:『教養の書』p.342-343。

*4:『教養の書』p.343。

*5:たいてい与党が多くて野党が少ない。

*6:たいてい政府・与党側だが、野党側の場合もあるし、超党派の場合もある。

特捜部廃止論 日本であった(検察権縮小 日本でもあった(2))

 韓国における検察の捜査権縮小など日本にとってはどうでもいいのに、否定的に評価しているメディア、人が多いことを批判したつもりの、「検察権縮小 日本でもあった」

kiyotaka-since1974.hatenablog.com

において、筆者は、日本の検察庁特別捜査部についてさらっと書いたが、その日本においても特別捜査部について批判的なことがあった。有料会員限定(ただし、無料会員でも月10本まで見られる)ではあるが、日本経済新聞電子版「特捜部の廃止は不可避 甲南大法科大学院教授 渡辺修氏 歪んだ正義 検証報告を読む(中)」(2010年12月28日4時)のリンクを貼っておく。

www.nikkei.com

 

  また、産経新聞復権した特捜部、課題は是正されたのか 押収資料改竄事件10年」(2020年9月19日18時59分)でも言及されているので、そのリンクも貼っておく。

www.sankei.com

 

 日本経済新聞の記事の方は有料会員限定なので、産経新聞の記事を一部引用してみよう。

 法務検察史上最悪の不祥事とされる大阪地検特捜部の押収資料改竄(かいざん)事件が発覚してから、21日で10年。政官財に巣くう巨悪を摘発してきた「最強の捜査機関」の威信は地に落ち、東京、大阪、名古屋の3つの特捜部は独自捜査体制の縮小を余儀なくされた。「もうロッキードリクルートのような事件はできない」。そんな悲観論もあった特捜部が今、再び存在感を放ち始めた。背景に何があるのか。改竄事件で露呈した特捜部の体質や捜査手法に潜む課題は是正されたのか。(以上1ページ)

(中略)

(以下2ページ)

 押収資料改竄事件の反省を経て、特捜部の捜査は変質したのか。ある元最高幹部の検察OBは「検察組織はそんなに変わっていないのではないか」との見方を示す。「今も昔も、無理して事件をやろうとすることが問題の根本にある」

(中略)

 あらかじめ事件の筋書きを描いて行う特捜部の捜査手法は、供述や客観証拠を多角的に見極め、矛盾が生じた場合は柔軟に修正する姿勢がなければ暴走を生む。筋書きにはめ込む強引な取り調べで、村木さんの指示があった-とした部下らの供述調書の大半は、裁判で「信用できない」と証拠採用されなかった。(以下略)

 

 こうしてみると、検察庁の権限が大きいということは、必ずしもいいということではないということがわかるだろう。

 

 韓国の検察の捜査権の縮小はメディアの報道でしか知らないが、検察庁の権限を見直すというのは、理由は精査していないが、日韓共通である。であるから、韓国だからと言ってヒステリックに「これだから韓国は」だとか「これだから文在寅は」だとか言ったり思ったりしないで、日本がどうであるかなどを自分で調べる方が建設的でいいと思う。

 

検察権縮小 日本でもあった

 韓国に移住するつもりのない*1、おそらく大多数の日本在住者には興味のない話だが、お付き合いを。

 

 以後読売新聞オンラインの記事を利用するのは、読売新聞の記事がまとまっていることと、価値判断をしているからであることをお断りしておいて、時系列順に。

 

①「文在寅氏に透けて見える『保身の思惑』…韓国検察の捜査権、大幅縮小の法案採決を強行」(2022年4月30日10時57分)

www.yomiuri.co.jp

 

②「政権交代目前の韓国、検察捜査権の大幅縮小の改正法成立…政治報復かわす強行採決との見方」(2020年4月30日19時25分)

www.yomiuri.co.jp

 

 そもそもの「検察改革関連法」(①)の趣旨は、①によると、

 与党が提出した検察庁法と刑事訴訟法の改正案は、検察が直接捜査できる犯罪を腐敗(汚職)、経済に制限するのが柱。与党は、捜査権の一部をまず警察に移し、最終的に新設する「重大犯罪捜査庁(仮称)」に全て移す計画だ

とのこと。なお、②によると、

(略)検察が直接捜査を開始できる犯罪を腐敗(汚職)と経済事犯に制限することを柱にした改正検察庁法案が可決・成立した。検察の捜査権は大幅に縮小され、警察に移ることになる。

(中略)

 改正法では公職者、選挙、防衛事業、大型惨事(重大事故)の捜査権が廃止される。ただ、選挙の捜査権は、6月に統一地方選があるため年末まで認められる

とのこと。

 

 日本には、特別捜査部(いわゆる「特捜部」)がある検察庁もあるが、一次的な捜査権は警察にある場合が多い。それからすると、韓国で起こっていることは、仮に疑惑があったとしても、検察の権力が強大だから改正したというだけとも言える。一時期刑事訴訟法の代表的な教科書とされた、田宮裕(ひろし)『刑事訴訟法〔新版〕』(有斐閣、1996)p.43によると、

(略)捜査官として、原則的には警察が主、検察官が従というのが現行法の構図であるが、大正刑訴法までは、両者の地位はまったく逆転していた。捜査の主宰者は検察官であり、司法警察職員*2はその補助者であった*3

とのこと。

 

 しかし、日本のメディアは、直接関係ない韓国のことにも、なぜか否定的な評価をしてしまう。筆者の知る限りどのメディアもそうだが、読売新聞の記事には、以下のようなくだりがある。

 文氏側には保身の思惑も透ける(①)

 文在寅ムンジェイン 政権の左派「共に民主党」(168議席)が「政治報復」捜査をかわすため、強行採決したとの見方が支配的だ。文政権には複数の不正疑惑がある(②)

(日本の歴史もわきまえず、よく書くなぁ)というのが筆者の感想。現地の声の紹介とはいえ、韓国に対する侮蔑意識があるように感じてしまった。

 

 なお、「刑事司法制度の急転換で犯罪捜査能力が低下するとの懸念も強い」(①)という懸念を筆者は否定しない。ただ、日本も似たようなプロセスを経たはずなのに、韓国に限って否定的にしか評価しないのはいかがなものだろうかと思い、本記事をアップする次第である。

 

*1:筆者も含む。

*2:おおむね警察官のことである、というのが、刑事訴訟法学の常識。

*3:その理由は、pp.44-45に書いてある。おおむね「当事者主義訴訟を採用した」(p.44)からだが、「検察官制度は過度の権力集中であ」(同)ったというのが「アメリカ的な考え方」(同)なのだそうだ。敗戦時にアメリカの制度を大幅に採用した日本の歴史の一端が垣間見える話である。

「日本(ニッポン)が ウクライナ」って たぶんない

 世の中には、『日本がウクライナになる日』(河東哲夫、CCCメディアハウス、2022)だとか、『自由を守る戦い:日本よ、ウクライナの轍を踏むな!』(ナザレンコ・アンドリー、明成社、2019)という本がある。

 

 しかし、これらのタイトルは、釣りにすぎず、現時点で、日本がウクライナみたいになることは、たぶんない。ウクライナ侵攻であれ、以前のグルジアジョージア)であれ、連続爆発が起こっているモルドバ*1であれ、すべて、もともとはソビエト社会主義共和国連邦だったからである*2。例えば日本の北海道がソビエト社会主義共和国連邦で、ロシア人が移住して国でも作ろうとしているのだろうか?そんなわけがない。

 

 もちろん、他国の侵攻は警戒しないといけない。しかし、可能性の低いことは一応想定すべきも、本にするほどでもないだろう。

 

 なお、実際に起こっているのは、フィンランドスウェーデンのさらなる西側かだろう。NATO加盟を検討しているわけだから。

*1:時事ドットコムモルドバ連続爆発、ロシアの挑発か 『ウクライナ銃撃』主張、飛び火警戒」(2022年4月27日20時31分。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2022042701022&g=int

*2:『一冊でわかるロシア史』(関眞興、河出書房新社、2020)、ならびにコトバンクモルドバ共和国」(

https://kotobank.jp/word/%E3%83%A2%E3%83%AB%E3%83%89%E3%83%90%E5%85%B1%E5%92%8C%E5%9B%BD-1601355#E3.83.87.E3.82.B8.E3.82.BF.E3.83.AB.E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.B3.89

)参照。

読売より ウィキペディアがね まともだよ

 ちょっとしたメディアリテラシーの話を。

 

 読売新聞2022年4月28日統合版13版6面に「拒否権使えば総会招集」などの見出しがついた記事があり、そこに「拒否権乱用の抑制を狙った総会決議に対する5常任理事国の態度と2010年以降の拒否権の行使回数」と題したデータが載っている。以下、各国の拒否回数を引用する。

米国 4回

英国 0回

フランス 0回

ロシア 23回

中国 11回

 すごい印象操作だなぁ。国際連合(連合国)って、2010年にできたのだろうか?

 

 一方、ウィキペディア国際連合安全保障理事会における拒否権」(以下の内容は、2020年4月29日現在)

ja.wikipedia.org

は参考になる。それによると(ただし、国名の表記は「ロシア」と「中国」を除いて、回数は、先ほど引用した読売新聞の順とする)、

米国 82回

英国 29回

フランス 16回

ロシア 26回(ただし、ソビエト社会主義共和国連邦時代に90回なので、合計116回)

中国 15回(なお、中華民国は1回*1

どういう事情があれ、改革すればロシア以外にも適用されるわけで、2010年という恣意的な区切り*2ではなく、国際連合が始まってからすべてのデータを示さないとアンフェアなだけである。こうしてみると、米国も乱用していると疑わざるを得ないと判断しないと実際の状況が見えない。

 

 というわけで、新聞だから信用するのではなく、いろいろな情報にアクセスして、妥当なデータを自らで判断した方がいいという話である。

*1:ロシアはソビエト社会主義共和国連邦を引き継いでいるが、中国こと中華人民共和国は、中華民国から代表権が移った。

*2:というか、なぜそこで区切るべきかがわからない。