最近の世論を表す一つがTwitterであることは否定できないと思うが、そのTwitterでトレンドになっているハッシュタグは、「#検察庁法改正案に抗議します」である(https://twitter.com/hashtag/%E6%A4%9C%E5%AF%9F%E5%BA%81%E6%B3%95%E6%94%B9%E6%AD%A3%E6%A1%88%E3%81%AB%E6%8A%97%E8%AD%B0%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%99?src=hashtag_click で見てね)。
この検察庁法改正案の問題点について、色々報道等に接した限りで一番腑に落ちた解説は、弁護士である堀新さんの以下のツイートである。
国家公務員の定年延長の議論は確かに前々からありましたが、それに伴う検察庁法の改正案では、当初は63歳の役職定年はあったものの、「内閣が特別に役職を延長できる」という規定はありませんでした。
— Shin Hori (@ShinHori1) 2020年5月11日
それが2020年1月に変更され、政権が介入可能な現在の案になったのです→https://t.co/6dq4IIkdJy pic.twitter.com/YV6VWijoC3
このツイートを前提として、以下の朝日新聞社説を2本読むとわかりやすいと思う。
朝日新聞2020年4月21日社説「検察庁法改正 政権の思惑を許すな」https://www.asahi.com/articles/DA3S14449476.html
同2020年5月12日社説「検察庁法改正 国民を愚弄する暴挙だ」
https://www.asahi.com/articles/DA3S14472264.html?iref=pc_rensai_long_16_article
この通りであることは、読売新聞だってわかっている。その証拠が、今日の統合版13版28面「検察定年 議論が過熱 特例延長に法曹界反発」である。
読売新聞の記事の悪いところは、以下のところ。
こうした状況に「当事者」の検察側は困惑する。検察幹部は「検察が捜査の手を緩めたり、事実をゆがめたりすることはないのに、人事がここまで注目されるのは異常だ」とため息をつく。別の幹部は「法改正を政権批判に結び付けたい人もいるのだろう」と語った
(読売新聞2020年5月12日統合版13版28面「検察定年 議論が過熱 特例延長に法曹界反発」より)
もちろん筆者も「『異常』」だとか、「『法改正を政権批判に結び付けたい人もいるのだろう』」(上記読売新聞記事より)だとか思っている。
しかし、以下のような話もある。
日本経済新聞電子版「検事長の定年延長「経緯説明を」 検事正が意見」(2020年2月20日18時25分)。
NHK政治マガジン「「不偏不党でやってきた
検察への信頼が疑われる」」(2020年2月21日)
もちろんこれらと別の見解もあろう(なお、今回の検察庁法改正は検事長の定年延長の問題とつながっていると判断しているので(根拠は後述)「論点が違う!」という非難はペケ)。しかしこれらの見解を無視して上記読売新聞の引用だけだと、(やっぱり、読売新聞って、自由民主党政権のポチだな)と思われるだけである。やっぱり日本の場合、朝日新聞、NHK、日本経済新聞の方が、こ(れら)の論点に限っては一枚上手のようである。なお、上記会議について、Googleニュースで検索した限りでは、読売新聞の記事は発見できなかった(日本テレビはあった。仮に読売新聞が報じていたとしたら、上記記事との整合性が問われる)。
ところで、先ほど「(根拠は後述)」と書いたが、それはBUZZAP!「「黒川氏は68歳(2025年)まで検事総長として君臨できる」法務省が公式見解」(2020年5月12日9時19分by深海)である。
「公式見解」(上記BUZZAP!の記事より)と言えるかどうかはわからないが、計算上はあり得ると認定して良い。
それにしても、黒川弘務・東京高等検察庁検事長をかたくなに守ろうとする安倍晋三政権って本当に異常だなぁ。